クロマチックスケールがいまいち理解できないギター初心者の方は多いです。クロマチックスケールが理解できると、初心者でも演奏の幅が広がり、ギターをより楽しめます。この記事では、ギターのクロマチックスケールの基本や練習方法、弾き方のポイント、応用練習、注意点、上達のコツを解説します。
最後まで読めば、クロマチックスケールが理解でき、ギターを上手く弾けるようになります。
クロマチックの基本
クロマチックの意味は「半音階の」、クロマチックスケールの意味は「すべての半音階を含むスケール」です。クロマチックの基本知識について、以下2点を解説します。
- クロマチックスケールの音階構成
- ギターでのクロマチックの重要性
クロマチックスケールの音階構成
クロマチックスケールは、音楽の基本的なスケールの1つで、全12の半音を含むのが特徴です。メジャースケール(長音階)やマイナースケール(短音階)など、他のスケールと異なり、すべての音を含みます。クロマチックスケールは、任意の音から始めることが可能です。
1オクターブにわたる半音階は、13音(12音と、1オクターブ上の開始音)で構成されます。CクロマチックスケールはCから始まり、C, C#, D, D#, E, F, F#, G, G#, A, A#, B, Cの順で進みます。
ギターでのクロマチックの重要性
ギターでのクロマチックスケールは「指の柔軟体操」として重要です。半音階ずつ上がったり下がったりすることですべての指を動かすので、基礎練習にはうってつけです。
クロマチックスケールを練習することで指でフレットを押さえる力がつき、指の動きがスムーズになり、指がよく開くようになります。結果的にパフォーマンスの質が向上します。
運動前のストレッチと同じように、演奏前にクロマチックスケールをくりかえし練習することはとても重要です。
クロマチックの練習方法
クロマチックを繰り返し練習することで、指の柔軟性と正確性を高められます。クロマチックの練習方法は、以下のとおりです。
- 一弦ごとに練習する
- 複数弦を組み合わせて練習する
- フレットを移動しながら練習する
一弦ごとに練習する
はじめはどの弦でも構いませんので、1本だけ使って練習します。
1・2・3・4フレットをそれぞれ人差し指・中指・薬指・小指で押さえるポジションになります。できたらピックを持って、八分音符で1音ずつ弾いてみましょう。ピッキングはダウン↓・アップ↑・ダウン↓・アップ↑です。
最初はBPM80くらいからスタートし、リズムをキープします。
慣れるまで同じ弦の1・2・3・4フレットを繰り返し練習しましょう。
さらに今度は4・3・2・1フレットの順番で弾きます。逆から弾くと少し難しく感じるかもしれませんが、がんばりましょう。
» ギターフレットの基礎と適切なメンテナンス方法
複数弦を組み合わせて練習する
次に、複数の弦を組み合わせて練習しましょう。
6弦の1・2・3・4フレットから始め、5弦、4弦……1弦までを弾き、今度は1弦の4・3・2・1フレットから6弦までを往復しましょう。
コツはリズムを崩さないように注意することです。
他の弦に移行する際に遅くなってしまいがちですが、リズムはキープでがんばりましょう。リズムをキープするにはメトロノームを設定するとよいです。
メトロノームはスマホの無料アプリもありますので、お持ちでない方はダウンロードして使ってみてください。
フレットを移動しながら練習する
6弦から1弦までの往復1セットを終えたら人差し指を2フレットにスライドし2・3・4・5フレットで同様に1セット練習します。
そしたら次は3・4・5・6フレットにずらし1セット……と徐々に上がっていって、人差し指が12フレットにくるまでが1周です。
この練習を繰り返すことで左手の滑らかさ、ピッキングの精度が向上します。基本中の基本ですが、プロのギタリストもストレッチ代わりに取り入れている練習方法です。
クロマチックの弾き方のポイント
クロマチックの弾き方で注意するポイントは、以下のとおりです。
- フレットと指の位置
- 右手のピッキング
フレットと指の配置
各フレットに対応する指は、1フレット目を人差し指、2フレット目を中指、3フレット目を薬指、4フレット目を小指とします。
フレットを押さえる際は、フレットバーの近くを押さえるとクリアな音が出しやすくなります。また、各指は常に弦のすぐ上に位置させ、使わない指も弦から完全に離さず近くに構えておくと、次のアクションがスムーズになります。
隣接するフレットへの移動は、指の動きを最小限に抑え、スムーズな移行を心がけるとよいです。
右手のピッキング
右手のピッキング技術は、ギター演奏の中核となる重要な要素です。特にクロマチックスケールのような正確性が求められるフレーズを演奏する際には、スムーズで正確なピッキングが演奏全体のクオリティを大きく向上させます。
オルタネイト・ピッキング
ピックを上下交互に動かして弦を弾く「オルタネイト・ピッキング」は、速いテンポでの演奏を行うための基本的な技術です。このテクニックを磨くことで、音の均一性が保たれ、演奏に安定感が生まれます。ダウンストロークとアップストロークの精度を高めることが重要です。
ピッキングのポイント
- ピックの角度と弦への当たり方を一定に保つ
弦に対して垂直にすると良い音が出ます。斜めに弾くとスカスカという感じの音になってしまいます。 - 力加減を調整する
力まず軽やかなタッチができるようになるとすばらしいです。
ピッキング技術を磨くことは、演奏の基礎を固めるだけでなく、自分らしい音を作る第一歩です。
ピックの種類
ギターのピックは大きくわけて4種類あります。
- ティアドロップ型
- トライアングル型
- ジャズ型
- サムピック型
オルタネイトピッキングをする方は「ティアドロップ型」か「ジャズ型」がおすすめです。
- ティアドロップ型
- ティアドロップ型ピックは最もポピュラーな形の1つで、多くのギタリストに愛用されています。先端が細くなるデザインのため、弦への引っかかりが少なく、滑らかなピッキングがしやすいです。ストロークもしやすく、万能タイプのピックです。
ティアドロップ型のピックは、大定番のこちらがおすすめ。
ストロークするけど単音弾きもするよ、という方はティアドロップ型がおすすめです。
- ジャズ型
- ジャズ型ピックはティアドロップ型をベースに、先端をさらにシャープにし、全体のサイズを小さくしたモデルです。よりスムーズなピッキングが可能で、繊細なニュアンスや高速プレイに適しています。ジャズギタリストだけでなく、ハードロックやヘヴィメタルのギタリストにも幅広く愛用されています。
ジャズ型のピックは厚めです。このJAZZ3も1.38mmという厚さで躊躇するかもしれませんが、使ってみると楽しいです。
ティアドロップ型とジャズ型のピックをいくつか買って引き比べてみるとおもしろいですよ。
クロマチックを使った応用練習
クロマチックの基本をマスターした後、余裕のある方は応用練習に取り組んでみましょう。クロマチックを使った応用練習は、以下のとおりです。
- 弦を一段飛ばしで弾いてみる(6→4→5→3→4→2→3→1)
- フレットをひとつ飛ばしで弾いてみる(1→3→2→4)
弦を一段飛ばしで弾いてみる(6→4→5→3→4→2→3→1)
次のようなやり方です。
6弦の1・2・3・4フレット → 4弦の1・2・3・4フレット
次に5弦の1・2・3・4フレット → 3弦の1・2・3・4フレット
このように弦を6→4→5→3→4→2→3→1とジグザグに練習します。
折り返しは1弦の4・3・2・1フレット → 3弦の4・3・2・1フレット
同様に2弦の4・3・2・1フレット → 4弦の4・3・2・1フレット
ジグザグに6弦まで降りてきたら人差し指を2フレットに移動させ2周目、と弾いていきます。
弦を移行するときにミスタッチが増えますし、うまく音が出なかったりするかもしれません。ギターの効果的な練習方法ですので、ぜひともチャレンジしてみてください。
フレットをひとつ飛ばしで弾いてみる(1→3→2→4)
今度はもう少し難しいかもしれません。
6弦の1・3・2・4フレット → 5弦の1・3・2・4フレット
次に4弦の1・3・2・4フレット → 3弦の1・3・2・4フレット
このようにフレットを押さえる順番を1・2・3・4から1・3・2・4に変えて練習します。
1弦まできたらまた折り返しです。
1弦の4・2・3・1フレット → 2弦の4・2・3・1フレット
同様に3弦の4・2・3・1フレット → 4弦の4・2・3・1フレット
ジグザグに6弦まで降りてきたら人差し指を2フレットに移動させ2周目、と弾いていきます。
運指がぐちゃぐちゃになってしまいそうですが、チャレンジしてみてください!
クロマチックを練習する際の注意点
クロマチックを練習する際は、以下の2点に注意してください。
- 正しい姿勢と手の形を意識する
- メトロノームを活用する
正しい姿勢と手の形を意識する
クロマチックを練習する際に最も重要なのは、「正しい姿勢と手の形を意識する」ことです。これにより、演奏の精度が向上し、長時間練習しても疲れにくくなります。以下のポイントを意識して、効果的に練習を進めましょう。
1. 正しい姿勢を保つ
- 背筋を伸ばす
リラックスした状態で、背筋を伸ばし、自然な姿勢を心がけましょう。無理な体勢は疲れやすく、のびのびとした演奏ができません。 - 肩の力を抜く
弾く際に肩に力が入らないよう意識しましょう。
2. 手の形に注意する
- 手首の位置
手首がギターに対して自然な角度を保つよう意識しましょう。手首に力が入ったまま練習をつづけると腱鞘炎になってしまいます。 - 指の形
指を曲げすぎず、弦に対してほぼ垂直に近い角度を保つのが理想です。
3. 適切な力加減を意識する
- 指の圧
弦を押さえる力は必要最小限で構いません。指を押さえる力が大きいと、次のフレットに移行するスピードが遅くなったり不自然になったりします。
初心者は、速さよりも正確性を優先し、ゆっくりとした速度から徐々にテンポを上げていきましょう。
» 初心者向け!ギターの基本的な操作方法と練習方法
メトロノームを活用する
クロマチックを効果的に練習するためのポイントは、「メトロノームを活用する」ことです。
メトロノームを活用することで正確なテンポで弾くことができますし、自分の苦手な部分が可視化されます。
具体的な活用方法は以下の通りです。
- 最初はBPM60〜80くらいゆっくりのテンポからはじめます。
- ひとつひとつが正確に弾けるようになったら徐々にテンポアップしていきます。
- テンポを上げる際には、無理をせず、自分の演奏が乱れない範囲で行いましょう。
メトロノームを活用したクロマチックスケールの練習は、初心者から上級者まで、あらゆるレベルのギタリストにおすすめの方法です。ぜひ日々の練習に取り入れてみてください!
クロマチック上達のためのコツ
クロマチック上達のためのコツは、以下のとおりです。
- 繰り返し練習する
- リズムを変えてみる(付点をつけるなど)
繰り返し練習する
クロマチックスケールを習得するためには、「繰り返し練習すること」が欠かせません。短いフレーズを繰り返し練習することで、指の動きがスムーズになり、スケール全体の流れが自然に理解できるようになります。
クロマチックスケールを小さなパートに分け、それぞれを何度も繰り返し弾きましょう。指の運びや弦移動がスムーズになるまで、焦らず丁寧に練習を重ねることが大切です。
リズムを変えてみる(付点をつけるなど)
八分音符に付点をつけてみても楽しいです。(タータタータ・タタータターなど)
フレットをひとつ飛ばしで弾いてみる(1→3→2→4)と組み合わせてもおもしろいですね。
このようにバリエーションを作って、自分で難易度を上げてみましょう。
クロマチックを練習する際によくある質問
クロマチックスケールの練習では、多くの初心者がさまざまな疑問や困りごとに直面します。以下で、具体的な疑問の事例と回答を解説します。
- 押さえる指は離す?離さない?
- 1日どのくらい練習すればいい?
- メトロノームがない場合はどうすればいい?
押さえる指は離す?離さない?
フレットを押さえる指ですが、たとえば1フレットから2フレットに移行するとき1フレットを押さえていた人差し指は少し離します。
あまり離しすぎると移動しにくくなるので、力を抜いて数ミリ浮かす程度です。
ちなみに昔は「離さない」が正解だったそうです。
押さえたまま離さないと、それはそれで移動しにくくなるので「少し離す」が正しいという流れになっていったのではないかと思います。
1日どのくらい練習すればいい?
1日5分でよいと思います。
大事なのは「継続すること」です。毎日ギターに触れることと、その前に5分だけクロマチックを練習するのがおすすめです。
楽しいと思えるのが一番。
メトロノームがない場合はどうすればいい?
無料のメトロノームアプリがあるので、スマホでダウンロードしておきましょう。
さまざまな拍子やテンポを設定できる機能を備えていて、便利です。
また、足でリズムを刻みながら弾くのもいいですね。体内メトロノームのトレーニングとしても有効です。
まとめ
クロマチックスケールはギター演奏の基本であり、指の独立性や正確なリズム感を養います。
一弦ごとの練習から始め、徐々に複数弦を組み合わせていきましょう。
正しい姿勢と手の形を保ちながら、メトロノームを活用してリズム感を鍛えることが重要です。
クロマチックを1日5分程度の準備運動として取り入れ、楽しくスキルアップを目指しましょう。
» 演奏の質をアップさせる!ギターのチューニング