ギターを始めたばかりで、「楽譜が読めない」「どうやって練習すればいいのかわからない」と感じている方は少なくありません。しかし、タブ譜を理解することで、楽器演奏の楽しさをすぐに体感できるようになります。
本記事では、初心者でもわかりやすいタブ譜の基本的な読み方から、演奏テクニックの記載方法までを詳しく解説します。この記事を読むことで、タブ譜を使った演奏ができるようになり、ギターがもっと楽しくなるはずです。
効率よくタブ譜を活用することで、1曲に費やす練習時間がかなり短縮できます。ぜひ最後までご覧ください。
タブ譜の基本
タブ譜は、ギターやベースなどの弦楽器専用の楽譜です。一般的な五線譜とは異なり、数字と線で構成されているため、楽譜が読めない初心者でも視覚的に理解しやすいのが特徴です。
タブ譜の基本について、以下の3点を解説します。
- タブ譜の特徴とメリット
- タブ譜と五線譜の違い
- タブ譜が適している楽器とスタイル
タブ譜の特徴とメリット
タブ譜の最大のメリットは、楽譜を読んだことがない初心者でも直感的に演奏方法を理解できる点です。数字が示すフレットに指を置くだけで正確な音を出せるため、複雑な音符の読み方を覚える必要がありません。
- 視覚的にわかりやすい
- タブ譜には、どの弦をどのフレットで押さえればよいかが明確に記載されています。そのため、「音ゲー」のような感覚で楽しく曲を覚えられます。
- 効率的な練習が可能
- 指の位置やハンドポジションが一目でわかるため、特定の技術やフレーズの練習を効率よく進められます。たとえば、速弾きやコードチェンジなども視覚的なガイドがあることでスムーズに練習できます。
- 初心者に優しい設計
- 楽器の初心者にとって、タブ譜は演奏を始めるための心強いツールです。五線譜が読めなかったり複雑な理論に触れなくても、実際に音を出して演奏を楽しむことができます。
タブ譜を活用することで、演奏のハードルを下げ、曲を楽しく練習できるようになります。初心者のうちからタブ譜に慣れることで、演奏技術の上達がさらに加速するでしょう。
タブ譜と五線譜の違い
タブ譜と五線譜の違いは、以下のとおりです。
楽譜の種類 | タブ譜 | 五線譜 |
対象 | ギターやベースなどの弦楽器 | すべての楽器や声楽 |
表記の仕方 | 弦番号とフレット番号で示す | 音の高さとリズムを記号で表す |
メリット | 初心者向けでわかりやすく 直感的 | 詳しい音楽情報を表現できる |
デメリット | ニュアンスがわかりにくい | 読み方に時間がかかる |
用途 | 弦楽器の演奏練習に最適 | 音楽理論や総合的な演奏用 |
タブ譜と五線譜はそれぞれに特徴があります。使用する状況や目的に応じて選びましょう。
タブ譜が適している楽器とスタイル
タブ譜は、以下の弦楽器に適しています。
- ギター
- ベース
- ウクレレ
- マンドリン
- バンジョー
楽器の演奏がフレットと弦の位置にもとづいているため、押さえるべきフレットを直感的に理解しやすくなります。楽器を始めたばかりの初心者にとって、音符の読み方を学ぶ前にタブ譜を用いるメリットは、手軽に曲の演奏を開始できる点です。
ソロやリードギターの演奏、フィンガースタイルのギター演奏など、特定のスタイルに特化した楽曲での使用が多いです。タブ譜は視覚的にも理解しやすく、演奏技術のスキルアップも効果的に行えます。
タブ譜の読み方
タブ譜を読む際は以下のポイントを押さえましょう。
- TAB譜の向き
- 弦と数字の意味
順番に見ていきましょう。
TAB譜の向き
タブ譜は、ギターのネックを上から見た図のようなものです。6本の横線はギターの6本の弦を表していて、一番上が一番細い1弦、一番下が6弦です。
弦の上に書かれた数字は、押さえるフレットの位置を表しています。「3」と書かれていれば、弦の3フレット目を押さえます。
たとえば次のタブ譜では2弦の3フレットを四分音符で4回弾くことを表しています。
1~6弦の番号を上下逆に読み間違えることがよくあるため、注意が必要です。
弦と数字の意味
タブ譜を読む際には、弦と数字の意味を理解しましょう。
タブ譜を読む際のポイントは、以下のとおりです。
- 複数の弦に同じタイミングで数字が書かれている場合は「コード」を表している
- タブ譜は、左から右へ、タイムラインを表している
- 数字や音符がないところは演奏しない
- 「0」は解放弦を弾く
基本を知っておくと、ギターの上達が早くなります。
基本を把握すると、タブ譜を読み解くスキルが向上し、曲の理解が深まります。
タブ譜の読み方を理解することで、ギターが早く上達します。
例えばチューニングのように同じ「ラ」の音でも「6弦の5フレット」と「5弦の解放弦」がありますよね。
このように五線譜には「ラ」の情報しか書いてありませんが、タブ譜は「どの弦の何フレットをどの指で押さえた時のラ」かがわかりやすいのです。
タブ譜で使われる記号とテクニック
タブ譜で使われる記号とテクニックは、以下のとおりです。
- ΠとV(ストロークやピッキングのダウン・アップ)
- ハンマリング・オンとプリング・オフ
- スライド・ビブラート・チョーキング
- その他のテクニック:ミュート・タッピング・ハーモニクス
動画でかんたんに解説しています。
ΠとV(ストロークやピッキングのダウン・アップ)
Πはダウンストローク、Vはアップストロークの意味です。
ハンマリング・オンとプリング・オフ
ハンマリング・オンとプリング・オフは、ギターやベースの演奏で用いられる重要なテクニックです。弦をピッキングする回数を減らしつつ、表現の幅を広げられます。
- ハンマリング・オン
- ギターの弦をピッキングせず左手の指でハンマーのように叩くようにフレットを押さえて音を出す方法です。
- プリング・オフ
- フレットを押さえた状態から指を素早く引き、新たに音を鳴らすテクニックです。うまくいくと連続したスムーズな音色になります。
タブ譜に起こすとこんな感じになります。
タブ譜は、ハンマリング・オンを示す際にフレット番号の間に「H」を挿入し、プリング・オフの場合は「P」を使用します。テクニックをマスターすると、メロディーの演奏だけでなくコードワークでも表現豊かな演奏ができます。
スライド
スライドは、押さえたフレットから次のフレットへ、弦を押さえたまま滑らせて移動するテクニックです。
スライドを使うことで、音が途切れず滑らかにメロディーを奏でられるため、よりメロディアスで表情豊かな演奏が可能になります。
チョーキング
弦を上にもしくは下に引っ張る奏法です。弦を上下に引っ張ることで一時的に音程が上がり、弦を戻すと音程が戻ります。
譜面上では「C」または「cho」と記譜されます。弦を戻すときは「D」と記譜されます。
ブラッシング
コードのバッキングなどで、弦に軽く指を乗せた状態でストロークしパーカッシブな音を出す演奏奏法です。
チャッ!という軽快な音がします。
ハーモニクス
特定のフレット上に軽く指を添え、弾くと同時に指を離します。
ポーンというチャイムのような高い音がします。
押さえるフレットは決まっており、ハーモニクスは主に5フレット、7フレット、12フレット、19フレットで鳴らせます。
その他のテクニック: ブリッジミュート・タッピングハーモニクス
ブリッジミュートやタッピング・ハーモニクスといったテクニックはタブ譜でもたまに見かけます。ブリッジミュートはストロークの場面で、タッピング・ハーモニクスはソロギターなどで見かけます。
- ブリッジミュート
- 右手の手刀の腹の部分で弦をミュートしながらピッキングする方法です。主に低音弦をミュートすることが多いです。
曲にリズム感や独特の雰囲気を加えられます。 - タッピング・ハーモニクス
- ハーモニクスが鳴るフレットを右手で軽く叩いて音を出す高度なテクニックです。このテクニックは押尾コータローのようなソロギターの演奏でよく使われ、リズミカルで華やかな雰囲気を一層引き立てます。DADGADなどの変則チューニングとの相性が抜群にいいです。
これらのテクニックは少し高度かもしれませんが、実際に演奏できなくても、タブ譜に記載されている際に理解しておくと役立ちます。
タブ譜を読む際の練習ポイント
タブ譜を読む際の練習ポイントは、以下のとおりです。
- 簡単な練習曲で実践する
- 実際に曲を流しながらタブ譜で確認する
簡単な練習曲で実践する
いきなり難解な曲に挑戦するより、かんたんな曲からタブ譜に慣れる方が上達が早いです。
なぜなら、ハンマリング・オンやハーモニクスやタッピングなどのテクニックがひとつひとつ出てくるようなシンプルな曲の方が理解しやすいからです。難しい曲ほどこれらのテクニックが複雑に絡み合うようなタブ譜になります。
そのため、まずはシンプルな曲から始めましょう。「ハッピー・バースデー」など基本的な技術で演奏できる曲がタブ譜の読み方を簡単に理解できます。
ギター初心者向けの書籍を使うのもひとつの有効な手段です。
これは僕のおすすめです。
練習曲をとおしてハンマリング・オンやプリング・オフなどの特定のテクニックを繰り返し練習すると、技術も自然とマスターできます。
ギターのテクニックを習得するためにかんたんな曲のタブ譜を使用することは非常に良い手段です。
実際に曲を流しながらタブ譜で確認する
タブ譜だけでは伝わりきらないリズムやニュアンスがあるため、曲を流しながらタブ譜を目で追うことをおすすめします。
タブ譜では、リズムやタイミングがわかりにくい場合がありますが、音源を聴きながら確認することで正確な演奏がイメージしやすくなります。
悩みながら進めるよりも、音源を参考にしてタブ譜で答え合わせをする方がはるかに効率的です。
この方法を取り入れることで、上達のスピードがさらに早くなることが期待できます。
タブ譜の応用技術と読み方
タブ譜の応用技術と読み方について、以下の2点を解説します。
- 複雑なテクニックのタブ表記
- 高度な曲でのタブ譜の活用方法
複雑なテクニックのタブ表記
複雑なテクニックを演奏する際、タブ譜はとても役立ちます。タブ譜には指やピックの動きに関する情報がわかりやすく書かれているからです。
特に、ハンマリング・オンやプリング・オフ、スライド、ビブラート、チョーキング、ハーモニクスなどのテクニックは、タブ譜を見る上で初心者から上級者まで必要です。
テクニック | タブ譜での表記 | 動き |
ハンマリング・オン | H | フレットを押さえるときハンマーのように指を素早く下ろし、音を出す |
プリング・オフ | P | 押さえたフレットから指を離す際に弦を軽く弾いて音を出す |
スライド | S | フレット間を滑るように移動し、スムーズにメロディーを奏でる |
ビブラート | 音符の上に波線 | 音を震わせる |
チョーキング | C | 弦を引き上げ、音程を変える |
ハーモニクス | 音符を◆で囲む | 5、7、12、19フレット上に指を添えピッキングしチャイムのような高い音を鳴らす |
タブ譜を用いた練習は、複雑な演奏技術を効率的に学ぶ手助けとなります。
高度な曲でのタブ譜の活用方法
高度な曲を演奏する際にも、タブ譜の活用は有効です。特に複雑なソロやリフを正確に演奏するためには、指の位置やテクニックを正しく理解し、練習を重ねることが一番の近道です。タブ譜の指示に従って指を動かすことで、複雑なフレーズもスムーズに演奏できるようになります。
タブ譜には、装飾音や特殊な記号も含まれています。ビブラートやチョーキングなどのニュアンスを忠実に再現することで、演奏を華やかにすることができます。
さらに、音源と一緒に練習することをおすすめします。音源を聴きながらタブ譜を目で追い練習することで、より効率よく上達できます。
タブ譜の読み方についてよくある質問
以下にタブ譜の読み方についてよくある質問をまとめましたので、参考にしてください。
- タブ譜を編集・作成するソフトはある?
- タブ譜と五線譜、どちらを使うべきですか?
- タブ譜で使われる記号が覚えきれません。。
- タブ譜が読めないとどうなる?
タブ譜を編集・作成するソフトはある?
タブ譜を編集・作成するソフトウェアは、ギタリストや他の弦楽器奏者にとって非常に便利なツールです。これらのソフトを使えば、自分の楽曲を簡単にタブ譜として書き出したり、既存のタブ譜を修正してアレンジを加えることができます。
- Guitar Pro(15000円くらい)
- TuxGuitar(フリーソフト)
- Flat(フリーソフト・スマホでもつくれる)
Guitar Proは包括的なツールであり、タブ譜や標準的な楽譜の作成も可能です。TuxGuitarは無料で利用できますが、Guitar Proの廉価版のような位置付けで仕上がりがきれいではありません。Flatはスマホでかんたんなタブ譜をつくれる、といったかんじでお手軽です。
思い通りにタブ譜をつくれると、バンドメンバーとすぐに共有でき、コミュニケーションがスムーズに行えます。
タブ譜と五線譜、どちらを使うべきですか?
ギターなど弦楽器の演奏を学びたい場合はタブ譜、音楽理論や他の楽器の演奏を学びたい場合は五線譜が適しています。
ギターの曲をコピーするのならタブ譜がいいし、曲をアレンジするなら「コード付きの五線譜」が便利です🎵
状況に応じて使い分けましょう。
タブ譜で使われる記号が覚えきれません。。
すべてを最初から覚える必要はありません。やりたい曲に出てきたテクニックをその都度覚えるようにすると、自然に身につきます。
わからないテクニック記号が出てきたら音源を聴いて耳で確認してみるとよいです。
タブ譜が読めないとどうなる?
タブ譜が読めないと、以下のような影響があります。
- 正確な演奏が難しくなる
- 曲を理解するのに時間がかかる
- バンドやセッションで、コミュニケーションに支障が出る
順番に見ていきましょう。
正確な演奏が難しくなる
タブ譜は、特定の楽曲を演奏するための指の位置や弦の情報を簡潔に示しています。読めないと、多くの曲を正確に演奏するのが難しくなります。
曲を理解するのに時間がかかる
タブ譜がないと耳コピに頼ることになりますが、これは時間がかかりやすく、解釈の違いによるミスも起きやすくなります。
バンドやセッションで、コミュニケーションに支障が出る
バンドのセッションや合奏では、タブ譜を共有して演奏することもあります。理解できないと、スムーズに協力することが難しくなります。
タブ譜を読むスキルは、ギターやベースを演奏する上で重要です。初心者でも少しずつ練習すれば身につくので、積極的に学ぶようにしましょう。
まとめ
タブ譜を読めると、ギターなどの弦楽器を演奏する際に大きな助けになります。タブ譜は数字で指の置く位置を明確に示しており、直感的で覚えやすいのが特徴です。
初心者から上級者まで幅広く活用されており、タブ譜を読むことで以下のようなメリットがあります。
- 演奏の幅が広がる
- 初心者にもやさしい
- 時短になる
タブ譜を読むスキルを身につけることは、音楽を深く楽しみながら技術を磨くための大切な一歩です。タブ譜を活用して、あなたの音楽ライフをさらに豊かにしましょう!