音楽制作を始めたいけれど、スタジオを借りるのは高価で、時間が取れない。
このように悩む方は多いのではないでしょうか。
そこで、自宅で手軽に音楽制作ができる「宅録」を始めることをおすすめします。
しかし、初めての人にとっては、必要な機材や環境の準備方法がわからないということもあるでしょう。
宅録コンテスト【録れコン】でファイナリストになった経験があるほっしー(@studiohossy)が、初心者向けの宅録機材の選び方や、宅録環境の準備方法について詳しく解説します。
また、モニタースピーカーや音響パネルなど、音楽制作に欠かせないアイテムの選び方についても説明します。
宅録に興味がある人、自宅で音楽制作を始めたいと考えている人は必見の記事です。
必要な機材の選び方
宅録を行うために必要な機材がいくつかあります。
いちばん簡易的なのはiPhoneとイヤホンとGarageBand(アプリ)があれば多重録音できますが、今回は自宅でパソコンとコンデンサーマイクを使って行うかんたんな宅録導入方法をお届けします。
宅録で必要な機材は以下の通りです。
宅録に必要なものリスト
- コンデンサーマイク
- オーディオインターフェース
- DAWソフト
- モニター用ヘッドホン
- モニタースピーカー
では具体的にどんなものを選べばよいのか、ひとつずつ見ていきましょう。
コンデンサーマイクの選び方
宅録には、高品質なマイクが必要です。
マイクの種類には、ダイナミックマイク、コンデンサーマイク、リボンマイクなどがあります。
数あるマイクの中で、音楽制作にはコンデンサーマイクが最も適しています。
また、録音する楽器や歌声の特性に合わせて、適切なマイクを選ぶことが大切です。
上を見るとキリがない世界ですが、今回は安くて高品質なマイクに絞っていくつか紹介します。
今回想定している相場はだいたい1〜3万円です。
順番に見ていきます。
RODE ( ロード ) / NT1-A
RODE ( ロード ) / NT1-Aはクセがなく、とてもナチュラルな音で録れます。
非常にバランスが良いNT1-A、初心者の方には特におすすめです。
僕はNT1-Aを長年愛用しており、録った作品が宅録コンテストでファイナリストに選ばれました。
audio technica ( オーディオテクニカ ) / AT2020
ユーザー数の多さがトップクラスで、特にYouTubeや配信ライブをやられている方に人気がある印象です。
RODE NT1-Aより安い価格帯なので、コンデンサーマイクのお試しとしてはうってつけですね。
マランツプロ / MPM-1000
びっくりするくらい安いです。
おそらくコンデンサーマイクの中でもっとも敷居の低い商品かと思います。
弾き語りなどでも使えるし、YouTubeやVoicyなどで話し声を収録する目的で使われる方も多い商品です。
特に「話し声」を収録する方は意外とPCやスマホの内蔵マイクを使われているケースが多く、マランツプロ / MPM-1000を使用することで説得力がグッとアップします。
説得力が上がると、同じことを言っていても自分の言葉が断然相手に伝わりやすくなりますよ。
オーディオインターフェースの選び方
オーディオインターフェースは、マイクから音声を受け取り、コンピュータにデータを送信するための機器です。
また、取り込んだ音声やPCのサウンドを高音質で再生する役割もあり、宅録では欠かせない機材です。
人の臓器でいうと、全身に血液を循環させる心臓のような役割です。
オーディオインターフェースには、入力チャンネル数が少なくても良い低価格なモデルから高品質なサウンドが得られる高価格なモデルまで、幅広い製品があります。
「出力される音質」「遅延のなさ」「使いやすさ」の項目でバランスのよいものを探すと良いです。
宅録用途であれば入力チャンネル数が少なくても良いかと思いますので、その中で評判の良いもの、導入しやすいものを紹介します。
今回想定している相場はだいたい1〜2万円です。
順番に見ていきます。
STEINBERG / UR22C
UR22Cは不動の一番人気なオーディオインターフェースです。
この価格帯ではもっとも安心して使えるオーディオインターフェースです。
1万ちょっとの価格帯では音質が素晴らしく、遅延なく使いやすいと評判で「もうUR22Cだけで良いんじゃないか」とも言われています。
ユーザー数が多いので、セッティングやトラブルで困った時などには調べやすいのも強みです。
FOCUSRITE / Scarlett 2i2 3rd Gen
Scarlettシリーズはかなり人気があります。
特徴的なのはフォーカスライトの代名詞ISA プリアンプの音質をモデリングする「AIR MODE」を搭載している点。
よりクリアなオーディオレコーディングを実現します。
ISA プリアンプ・・・Focusrite伝統のプロフェッショナル用コンソールの核となる増幅回路のことです。
AIRスイッチをポチっと入れるだけで音圧が増幅され非常にクリアにレコーディングできます。
YAMAHA / AG06MK2
WEB配信ライブをメインに使用するならこれ一択で良いです。
配信時にとても使い勝手がよく、ボタンひとつでキレイなReverbとCompressorがかかります。
僕も【配信用オーディオインターフェース】としてAG06(前の型番)を持っています。
AG06で配信ライブをすると、頻繁にこんな風に聞かれます。
いい音ですね。どんな配信機材を使っているんですか?
AG06は本当に重宝していて、今や無くてはならない存在です。
壊れてもぜったい同じものを買い直しますね。
DAWソフトの選び方
DAWソフトは、レコーディング、編集、ミキシング、マスタリングなど、音楽制作に必要な機能を備えたソフトウェアです。
録音からマスタリングまで、何か作業するときは必ずDAWソフトを起動します。
DAWソフトには、Pro Tools、Logic Pro X、Cubase、Studio Oneなどの有名な製品があります。
自分の音楽制作スタイルや予算に合わせて、適切なDAWソフトウェアを選ぶことが大切です。
また、オーディオインターフェースを購入するとDAWの無料版がついてくることも多いので、そういった中から使用してみるのもひとつの手です。
それぞれの特徴をざっくり見てみましょう。
DAWソフトの選び方に困っている方は↓の記事を参考にしてください。
宅録の入門者必見!DAWソフトの比較と選び方|初心者向けガイド
Pro Tools
使い方が一番シンプルで、音声編集のしやすさはトップです。
業界標準のソフトで、プロのエンジニアさんがPro Toolsを使っている確率はかなり高いです。
Logic Pro X
LogicはMac専用のDAWソフトです。
一番の強みは「アップデートがすべて無料」なこと。
24000円で買い切り後は一切料金はかかりません。
他のDAWソフトは年間アップグレードで2万以上する場合もあるので、Logicのコスパが最強だと思っています。
僕はLogic Pro Xユーザーで、7年前にLogic Pro Xを購入しアップデートを繰り返してますが一切費用はかかっておりません。
プラグインの質も非常によく、細かいピッチ修正機能まで使い放題です。
おすすめです。
Cubase
CubaseはDAWソフトで国内シェア1位と言われています。
オーディオインターフェースのおまけで無料版がついてくる場合が多くて、僕も何年か使用した経験があります。
操作が若干複雑ですが、解説動画などのフォローも多いので困った時は解決しやすいです。
Studio One
直感的な操作のしやすさ、わかりやすさが特徴です。
ロースペックなPCでも重くなりにくく動くので、容量が小さめのノートパソコンに入れて持ち歩くのも可能です。
Studio Oneは大手楽器店で売っているのもよく目にしますね。
モニター用ヘッドホンの選び方
「リスニング用ヘッドホン」と「モニター用ヘッドホン」は、それぞれ異なる用途に使われるため、機能面や音質面で異なる特徴を持っています。
リスニング用ヘッドホンの特徴 | ・音楽鑑賞や動画鑑賞などのエンターテイメント用途に適している。 ・音響的に処理された音源を再生することが主な目的。 ・音質や低音・高音などのバランスが良いように設計されている。 |
モニター用ヘッドホンの特徴 | ・音楽制作や録音などのプロフェッショナルな用途に適している。 ・モニタリングのために使用され、録音された音源の正確な再現を目的としている。 ・音のバランスがフラットに設計されており、モニタリングに必要な高い解像度や明瞭性を持つ。 |
つまり、リスニング用ヘッドホンは音楽や動画を楽しむための製品であり、モニター用ヘッドホンは音楽制作や録音のための正確なモニタリングを目的とした製品ということになります。
宅録を行う際には、モニター用ヘッドホンを選ぶことで、正確な音像を再現し、クオリティの高い音楽制作ができるようになります。
今回想定している相場はだいたい1万円台です。
順番に見ていきます。
SONY ( ソニー ) / MDR-CD900ST
MDR-CD900STはモニター用ヘッドホンの定番中の定番。
1989年の発売以来、永年にわたりずっとプロの現場で選ばれ続けているヘッドホンです。
ヘッドホンの「原点」であり、歴史が証明した「頂点」でもあると言われています。
国内どこのレコーディングスタジオでも見かける業界標準機で、テレビ番組やアーティストのPVでも良く見かける事でも有名です。
迷った時はこれ一択ですね。
もちろん僕もヘビーユーザーです。
SONY ( ソニー ) / MDR-7506
国内ではMDR-CD900STが、海外ではMDR-7506が有名です。
スタジオでの音響モニターのみならず映画制作の現場でも人気があり、海外スタジオでは標準機です。
螺旋状にくるくるしたカールコードというケーブルを採用しています。
昔の受話器みたいなやつですね(古)
ストレートケーブルだと椅子で踏みそうになることが多いので、これはありがたい仕様ですね。
モニタースピーカーの選び方
モニタースピーカーは、レコーディングやミックスを行う際に、正確な音質を再生するために必要な機器です。
モニタースピーカーには、フラットな音質で再生できるスタジオモニターと、低音を強調したDJ用モニターなどがあります。
宅録には、スタジオモニターが最も適しています。
今回想定している相場はペアでだいたい2〜3万円です。
順番に見ていきます。
YAMAHA ヤマハ / HS5 モニタースピーカー
現在個人の宅録やDTMでモニタースピーカーとしてHS5を使っている人が一番多いのではないでしょうか。
YAMAHA/HS5は僕も宅録で使っています。お気に入りの機材です。
僕は以前DIATONEの100cmくらいの高さがあるどデカいスピーカーを使っていました。
DIATONEが故障したタイミングでスペースの効率化を考慮し、HS5を購入しました。
こんなに小さくて大丈夫か!?と不安になりましたが、いい意味で期待を裏切られめっちゃ良い音で鳴ってくれています。
左右にスピーカーを設置しているのに、真ん中から聴こえるようなリアルな錯覚があります。
YouTubeでモニタースピーカーのランキングがあるとHS5は必ずランクインしていますね。
PRESONUS ( プレソナス ) / Eris E3.5 モニタースピーカー
お部屋が6畳くらいの広さで低価格なものをご希望であれば、Eris E3.5は初めてのモニタースピーカーに最適です。
人気がありしばらく国内では品薄状態がつづいていたようですが、現在はサウンドハウスにも在庫があるようですね。
JBL ( ジェービーエル ) / 305P MKII スタジオモニター
スピーカーでは超有名なメーカーです。
音質はさすがのJBL。
見た目のかっこよさもあり、人気商品です。
YAMAHA / HS5と迷う方が多いようです。
ペア売りは無さそうで、購入の際はLRで2つ必要になりますのでご注意を。
レコーディング環境の準備
レコーディング環境を準備することは、高品質な音楽を制作するためには欠かせません。
以下に、宅録初心者がレコーディング環境を準備するために必要な手順を説明します。
静音性の高い空間の選択
レコーディングする場所は、静音性の高い空間を選びましょう。
音楽制作には、外部からの騒音やエコーなどの影響を最小限に抑える必要があります。
リビングルームやダイニングルームは、家具やカーテンなどがあるため、音の反響が発生しやすい場所です。
部屋の音の反響のことを「部屋鳴り」といいます。
この「部屋鳴り」を、音響パネルや吸音材などで部屋を改善する必要があります。
AURALEX ( オーラレックス ) / Studiofoam Wedges 4″ 6枚 60cm x 60cm 厚さ10cm チャコール
次のような場合は部屋鳴りがしやすいので、吸音材などの対策が必要です。
・部屋に物が少ない状態
・部屋の中心または壁際で録音している
部屋鳴り対策としてStudiofoamのような吸音材をマイクの後ろ側の壁に貼るだけで改善することがあります。
見た目にこだわらない方は、吸音材の代わりにバスタオルや毛布をマイクの後ろ側に置くと部屋鳴りを軽減できますよ。
BOYA ( ボーヤ ) / BY-RF5P リフレクションフィルター
リフレクションフィルターは僕も使ったことがあります。
マイクスタンドに装着できるので場所を取りませんし、収録された音がまるでレコーディングスタジオで録ったような高音質になります。
ただ、重量があるので(かなり重い)デスクアームタイプのマイクスタンドには適せず僕は使わなくなりました。
ストレートタイプのマイクスタンドを使われている方はぜひリフレクションフィルターをご検討ください!
モニタースピーカーの設置
モニタースピーカーは、正確な音質を再生するために不可欠なアイテムです。
スピーカーを設置する場所は、壁から離して設置することが望ましいです。
壁から離せない場合は、スピーカー後ろの壁に吸音材を貼ることでリスニング環境も改善されます。
また、スピーカーの向きにも注意し、リスナーが座った場合に、音が最も正確に届くように設置しましょう。
具体的には、左右対称(やや内向き)にスピーカーを設置し、正三角形の頂点に自分が座るかたちが理想的です。
以上が、レコーディング環境を準備するための基本的な手順です。
これらの手順をしっかりと実践することで、高品質な音楽制作が可能になります。
ただし、初めてのレコーディング環境の準備は、初心者にとっては大変かもしれません。
時間をかけて慎重に設定し、必要に応じて専門家からアドバイスを受けることをおすすめします。
まとめ
今回は宅録を始めたい方向けの必要な機材と準備方法について、初心者向けのガイドを紹介しました。
宅録を始めるには、必要な機材とレコーディング環境の準備が必要です。
必要な機材としては、コンデンサーマイク、オーディオインターフェース、DAWソフト、モニター用ヘッドホン、モニタースピーカーが挙げられます。
これらの機材は、自分の目的に合わせて選ぶ必要があります。
レコーディング環境の準備としては、静音性の高い空間の選択、吸音材や音響パネルの設置、モニタースピーカーの設置などが重要です。
これらの要素をうまく調整し、レコーディングに最適な環境を作り上げることが必要です。
宅録はしっかりとした準備が必要ですが、十分に慣れてしまえば、自分の好きな曲やサウンドを自分でかんたんに作り出すことができます。
慣れるまで時間はかかるかもしれませんが、初心者でもできる宅録に挑戦してみましょう。
「まずはかんたんにiPhoneでレコーディングしてみたい」という方は↓の記事が参考になるかもしれません。
【低コストでレコーディング】iPhoneさえあれば無料でできる
それでは、また!