歌ってみた動画をアップロードしたいけど、著作権の侵害が心配だと悩みを持つ人は多いです。著作権などの法律を事前に学んでおかないと、知らず知らずのうちに訴えられる可能性があります。
この記事では、著作権を守りながら歌ってみた動画を公開する方法を解説しています。記事を読めば、安心して動画をアップロードできるようになります。合法的に著作権を遵守することで、創作活動を楽しめる仕組みを作りましょう。
実は、「歌ってみた」に関する著作権は非常に複雑で理解しづらい部分があります。
そこで、まずはこれさえ押さえておけば大丈夫というポイントをお伝えします。
「歌ってみた」で著作権を侵害しないためのポイント
- 合法的なカラオケ音源を利用する
- JASRACが利用許諾契約を締結している動画投稿サービスを利用する
- 著作権フリーの音源やフリー素材を使う
- 自分で伴奏トラックをつくる or 依頼する
- 自作の曲を利用する
歌ってみた動画の著作権において知っておくべきこと
歌ってみた動画の著作権において知っておくべきことは、以下2つです。
- 著作権の基礎知識
- 歌ってみたに関連する著作権
著作権の基礎知識
著作権は、創作者が自分の作品に対して持つ権利を指します。創作物に対する作者の権利を保護する法的な概念です。著作権には大きくわけて2つに分類されます。
1つ目は著作人格権です。作品の発表や作品を改変されない権利などが含まれます。
2つ目は著作財産権です。作品をコピーしたり、第3者による公への配信を制限したりする権利が含まれます。
上記2つの権利は、作品が作られた瞬間に自動的に発生します。
少し詳しく見ていきましょう。
著作者人格権
著作者人格権は、著作物の創作者の人格的な利益を保護するための権利です。具体的には以下の3つの権利が含まれます:
- 公表権:
- 著作者はその著作物を公表するかどうか、いつ公表するかを決定する権利です。これは著作者が自分の作品をいつ世間に公開するかをコントロールできる権利です。
- 氏名表示権:
- 著作者はその著作物に自分の名前を表示するか、匿名で発表するかを決定する権利です。著作者の名前が正しく表示されることを要求することもできます。
- 同一性保持権:
- 著作者はその著作物の内容や形を無断で改変されない権利です。これは著作物が著作者の意図と異なる形で変更されることを防ぐための権利です。
著作財産権
著作財産権は、著作物を経済的に利用する権利です。具体的には以下の権利が含まれます:
- 複製権:
- 著作者はその著作物をコピーする権利を持っています。これは著作物のコピーを作成する行為を制御する権利です。
- 公衆送信権:
- 著作者はその著作物をインターネットや放送を通じて公に送信する権利を持っています。これは著作物を第三者によって公に配信することを制限する権利です。
- 翻訳・翻案権:
- 著作者はその著作物を他の言語に翻訳したり、他の形態に改変する権利を持っています。これは著作物を新たな形で利用する行為を制御する権利です。
- 貸与権:
- 著作者はその著作物を貸与する権利を持っています。これは著作物を図書館などで貸し出す行為を制御する権利です。
これらの著作財産権により、著作者は著作物から経済的な利益を得ることができます。両方の権利は、作品が作られた瞬間に自動的に発生します。
「歌ってみた」に関連する著作権
「歌ってみた」に関連する著作権は以下のとおりです。
- 原曲のメロディに対する著作権
- 歌詞に対する著作権
- 音楽の編曲に関する著作権
- ビデオクリップの映像著作権
- 音源の実演者に発生する隣接権
原曲のメロディに対する著作権は、作曲者が持っている権利で、メロディを使用するには許可が必要です。歌詞そのものにも著作権があり、作詞者に帰属します。メロディとは別で許可が必要です。音楽の編曲に関する著作権についても考慮すべきです。既存の曲をアレンジする場合は、アレンジにも新たに著作権が発生します。
ビデオクリップの映像に関する著作権もあります。映像を作成したり使用したりする際には、映像制作者からの許可が必要です。意外と忘れがちなのが隣接権です。隣接権は音源を演奏する人が持つ権利で、オリジナルの演奏を保護するもの。演奏を録音する際には、隣接権にも配慮する必要があります。
著作権を適切に管理することで、創作活動を法的な問題なく楽しめます。
歌ってみた動画の著作権侵害を避ける方法
歌ってみた動画の著作権侵害を避ける方法は以下のとおりです。
- 合法的なカラオケ音源を利用する
- 自作の曲を利用する
- 著作権フリーの音源を使う
- 自分で伴奏トラックをつくる or 依頼する
- ボーカロイドを活用する
合法的なカラオケ音源を利用する
歌ってみた動画の著作権侵害を避ける方法として、合法的なカラオケ音源の利用が効果的です。カラオケ音源を使用する際は、権利者から正式に許可を得た音源を選ぶ必要があります。カラオケ音源の合法的な使用方法には以下のようなオプションがあります。
- カラオケ配信サービスの利用
- ライセンスつきの音楽素材サイトからの購入
- 公式の歌ってみたカラオケ音源の利用
YouTubeなどのプラットフォームで提供されているカラオケ音源を利用する場合であっても、注意が必要です。音源が適切な手続きを通じて許可されているかを確認する必要があります。著作権者から直接許可を得ることも1つの方法です。
自作の曲を利用する
自作の曲を利用することは、著作権侵害のリスクを避けるための有効な手段です。自作曲は他の音楽とは異なり、完全にオリジナルであるため、著作権に関する問題が発生しません。自分でメロディーや歌詞を作成したものに合わせて曲の録音をすれば、曲すべての権利を自分が保持できます。
自分で作った曲の著作権を登録しておけば、他人による不正使用も防げます。創作活動の成果を保護して、安心して公開や配信を行うことが可能です。自作する場合は、良質な音質での録音も再生数の向上に重要です。
プロが使う機材を使用して録音できる環境を整えられると、視聴者から高い評価を受けやすくなります。
著作権フリーの音源を使う
著作権フリーの音源を使えば、歌ってみた動画を作成する際に法的な拘束力に縛られません。著作権フリーの音源とは、著作権の制限がないか、著作権が切れた楽曲であることがほとんどです。著作権が切れるのは、著作者の死後50年以上経過しているかどうかが判断の基準となります。
ただし、使用する際には利用条件や利用許諾について確認する必要があるため、事前にチェックしましょう。一部の音源では商用利用の際に指定された場所に表記を必要とする場合もあるため、注意が必要です。多くのウェブサイトで無料または有料で著作権フリー音源が提供されています。
著作権フリーの音源を利用することで、法的なリスクを避けながら、クリエイティブな活動が行えます。さまざまなジャンルの曲を選べるため、自分の動画のテーマに合った楽曲を見つけやすいです。
自分で伴奏トラックをつくる or 依頼する
ギターやピアノ、打ち込みなどで伴奏がつくれる場合は自分で伴奏トラックをつくるのが良いです。なぜなら自分の演奏であれば利用許諾が必要ないからです。
たとえば録音ソフトとマイクを使って自分で伴奏を録音し、その上から歌を重ねて録音すれば「歌ってみた」が完成します。伴奏トラックを流しながら配信ライブで歌うこともできます。
また、楽器の演奏が難しい場合は、楽器が得意な人に依頼するのも有効な手段です。あなただけの伴奏トラックをつくってもらうことができます。
ココナラでは筆者も伴奏制作のサービスを出品しております。ご依頼は「ほっしー✨」で検索してみてください。
ボーカロイドを活用する
ボーカロイドを使って、オリジナル曲の歌ってみた動画を作成するのも、著作権侵害を避ける方法の1つです。ボーカロイドは、ヤマハ株式会社が開発した音声合成技術の応用製品の総称を指します。簡単な操作で、まるで人間と錯覚するような歌声を合成することが可能です。
ボーカロイドを使って歌ってみた動画を作るには、ボーカロイドソフトと音源を用意する必要があります。ボーカロイドソフトでは、さまざまな音声を発する種類が販売されています。初心者には、操作が比較的簡単な初音ミクがおすすめです。ボーカロイドソフトには、歌詞やメロディーを入力するエディターが付属しています。
歌詞は、オリジナルで書くことも、既存の歌詞を利用することも可能です。ただし、既存の歌詞を利用する場合は、著作者を侵害する可能性があります。事前に利用許諾をよく確認してください。メロディーラインは、自分で作成したり、MIDIファイルなどを利用したりして対応します。
歌詞とメロディーを入力したら、音声合成をします。合成された音声を、動画編集ソフトを使って見れる動画に編集します。動画には、イラストや歌詞などを表示して、視聴者に覚えてもらいやすい工夫の追加が可能です。ボーカロイドの歌声は、人間の声とは異なっており、あくまでも音楽制作のツールです。
歌唱力や表現力を向上させるためには、聞き取りやすい音声にするための練習が必要になります。
歌ってみた動画を安全にアップロードするためのポイント
歌ってみた動画を安全にアップロードするためのポイントは、以下のとおり。
- 著作権を確認する
- 利用許諾を得る
- JASRACやNexToneを利用する
著作権を確認する
歌ってみた動画をアップロードする際には、使用する楽曲の著作権を事前にきちんと確認することが重要です。楽曲そのものだけでなく、作詞者や隣接権などについても確認しておきましょう。インターネットに上がっているオリジナル曲は、ハンドルネームで記載されている場合もあります。
権利保有者が誰であるかを明確にするために、YouTubeだけでなくXなどのSNSも利用しているか確認しましょう。SNSでは、ダイレクトメッセージを一般開放している作曲者もいるので、本人の許可が欲しい場合は効果的です。曲が保護されている期間が終了しているかどうかも確認してください。
一般的には、著作者の死後50年以上が経過している場合は、著作権保護の期間が終了していると考えて良いです。その他、曲に関連するすべての権利について確認する必要があります。確認方法として、JASRAC(日本音楽著作権協会)などの著作権を管理する団体に問い合わせるのが有効です。
利用許諾を得る
歌ってみた動画を安全にアップロードする前に、利用許諾を得ましょう。利用許諾を得る際には、著作権者と直接連絡を取るのが手っ取り早いです。使用条件や範囲を明確にしておきましょう。楽曲の利用には、著作権者との間で使用許諾契約を結ぶのが一般的です。
使用許諾料の支払い条件についても、合意を得る必要があります。著作権者が新曲を追加した場合など、別の曲について利用許諾を得るための内容もあるとベストです。すり合わせが完了したら、合意内容を文書にして確認して保管することで、今後のトラブルを防止できます。
JASRACやNexToneを利用する
著作権者と直接連絡が取れない状況下では、JASRACやNexToneを利用すると良いです。JASRAC(日本音楽著作権協会)やNexToneの利用は、歌ってみた動画の著作権を適切に管理するのに有効です。音楽の著作権を管理しているため、正式な使用許諾を得られます。
YouTubeなどのUGCサービスは『JASRACが利用許諾契約を締結している動画投稿サービス』なので、そのまま利用しても問題になることはほぼありません。
JASRACがYouTubeなどの動画投稿(共有)サービスでの音楽利用を公式で出しており、フローチャートで可否をチェックできます。
NexToneはデジタル配信に特化しているため、オンラインでの動画配信に適しています。使用許諾を申請する際には、利用する楽曲の詳細と、使用目的を明確に伝えるべきです。許諾が得られた場合は、指定された条件に従った楽曲の使用が認められます。
JASRACやNexToneを利用すれば、著作権侵害のリスクを避けつつ、クリエイティブな活動を安心して行うことが可能です。音楽の著作権を正しく理解し、著作権者だけでなく視聴者にとっても良質なコンテンツを作り上げましょう。
著作権侵害が疑われた場合の対処法
著作権侵害が疑われた場合の対処法は以下のとおり。
- 著作権侵害の申し立てがあった時の対応
- 法的措置を講じる前の交渉と解決策
著作権侵害の申し立てがあった時の対応
著作権侵害の申し立てがあった場合は、以下の対応をするのが望ましいです。
- 申し立てに対して迅速に反応する
- 著作権の所有者と直接コミュニケーションを取る
- 侵害の内容を正確に理解する
- 該当する動画やコンテンツを確認する
- 必要に応じて動画を一時的に非公開に設定する
- 法的代理人や専門家に相談して適切な法的対応の準備をする
- 侵害が誤解または誤認であれば証拠を持って反論する
- 和解やライセンス取得の可能性について交渉する
- 再発防止策を計画する
- 他の動画でも著作権侵害をしていないか確認する
最初にすべき対応は、迅速かつ慎重に対応することです。申し立てを受けたら、問題をすぐに認識し、著作権所有者からの連絡先情報を確認して直接やりとりしましょう。侵害とされる内容は正確に理解して、該当する動画やコンテンツを検証する必要があります。
アップロードした動画に問題があったり、深刻な著作権侵害をしていたりすると判明した場合は、すぐに動画を非公開にします。さらなる問題の拡大を防ぐために、他の動画でも著作権侵害をしていないかも同時に確認しておきましょう。ことの重大さによっては、法的代理人や専門家に相談して、適切な法的対応の準備も必要になります。
もしも、侵害が誤解または誤認であると判断できる場合は、客観的な証拠を用いて反論すべきです。裁判まで発展させたくない場合は、和解やライセンス取得の可能性を探る交渉も視野に入れると良いでしょう。再発防止策を計画して、将来的な著作権問題を避けるための措置を講じてください。
同様の事態が発生するリスクを最小限に抑えることが可能になります。
法的措置を講じる前の交渉と解決策
法的措置を講じる前の交渉と解決策として、以下のような措置が考えられます。
- 直接対話を試みる
- ライセンス契約を提案する
- メディエーションを利用する
- 弁護士を介入させる
- コンプライアンスの確認と改善をする
著作権侵害が疑われた場合、すぐに法的措置を取るのではなく、まずは交渉と解決策を模索することが重要です。交渉は、双方にとって長期的な時間とコストを節約する方法になります。相手と直接の対話を試みて、誤解があれば解消して、問題を早期解決できます。適切なライセンス契約を提案するのも有効な手段の1つです。
合法的にコンテンツを利用できるようになり、将来的に同じような問題の発生防止にもつながります。仲介者をおいて、中立的な第3者を交えた交渉も効果的です。双方にとって公平な解決策を見つけやすくなるからです。必要に応じて、法的なアドバイスがもらえる弁護士にも相談しましょう。
専門家の意見は、適切な解決策を見つけるうえで非常に役立ちます。弁護士に依頼する前に、自分が置かれている状況を再確認して、わかりやすく伝えることが重要です。
YouTubeで著作権侵害を疑われるとどうなるか?
YouTubeで著作権侵害に該当するコンテンツをアップロードすると、以下のような影響があります。
著作権侵害の警告を受ける
著作権を侵害するコンテンツがアップロードされると、YouTubeから著作権侵害の警告が発せられます。
この警告は、著作権者からの申立てに基づいて行われます。
警告が3回累積した場合の措置
著作権侵害の警告が3回累積すると、以下の措置が取られます:
- アカウントと関連付けられているチャンネルの停止:
アカウントに関連付けられているすべてのチャンネルが停止されます。これにより、チャンネルは公開されなくなり、視聴者はチャンネルや動画にアクセスできなくなります。 - アップロードされたすべての動画の削除:
アカウントにアップロードされたすべての動画が削除されます。これにより、過去に投稿した動画も含めて、視聴者が動画を視聴することができなくなります。 - 新しいチャンネルの作成禁止:
アカウントが停止されると、新しいチャンネルを作成することができなくなります。これにより、同じアカウントで再度YouTubeを利用することができなくなります
これらの措置は非常に厳格であり、著作権侵害を未然に防ぐためにも、事前に著作権に関するルールをしっかりと理解し、遵守することが重要です。
まとめ
歌ってみた動画をアップロードする際は、著作権に関する理解と適切な対応が必要です。管理さえ適切に行えば、自由に歌ってみたを投稿できます。著作権侵害の申し立てがあった場合には、迅速な対応や適切な手続きが求められます。著作権侵害のリスクを避け、創作活動を安心して楽しみましょう。