録れコンでファイナリストに残った作品の全分析|5つのポイント【音源あり】
3,000曲を超える応募のなかで、ファイナリストに残ったのは20曲ほど。
そのうちの1曲が、この作品です。
こんにちは!弾き語りライブ歴20年以上、宅録コンテスト「録れコン」ファイナリストのほっしー(@studiohossy)です。
狙うのは80〜90点です。演奏と録音で70〜80点、ちょっとした工夫で10点。この配分で十分に戦えます。
完璧な演奏と完璧なミックスだけでは、いわゆる「普通の作品」で終わってしまうからです。
審査する人に「おっ、ちょっと良いな」と思ってもらう部分が要ります。
この記事では、僕が実際にファイナリストまで残った作品について、やったことを5つに分けて全部公開します。
音源も置いてあるので、聴きながら読んでみてください。
※実際のコンテストで点数が出るわけではありません。あくまで自己採点の目安です。
ファイナリストまで残った作品

まずは聴いてみてください。
ワンコーラスだけですが、これが実際にエントリーした作品です。
弾き語りの多重録音です。
特別な機材も、特別な演奏技術も使っていません。
100点を目指さなくていい

まず確実に言えるのは、100点(完璧)を目指さなくていいということです。
- 演奏と録音(ミックス)のクオリティー
- 70〜80点
- ちょっとした工夫
- 10点
- 合計
- 80〜90点を目指す感覚でよい
この作品でやったことは、以下の5つです。
- ①ギターの重ね方とマイキング
- ②ボーカルの録音
- ③コーラスワーク
- ④リバーブの使いどころ(ちょっとした工夫)
- ⑤半音ずらしのブルースハープ(ちょっとした工夫)
①〜③が演奏と録音のクオリティー、④⑤がちょっとした工夫にあたります。
順番に解説していきます。
①ギターの重ね方とマイキング

やったことは以下の2つです。
- コンデンサーマイクとダイナミックマイクの2本でブレンドして録音
- メインとサブのバッキングで、アクセントをわざとずらす
結果として、ステレオ感が気持ちいいサウンドになりました。
なぜ2本でブレンドしたのか
単純に「良い音にしたかったから」です。
コンデンサーマイクでサウンドの骨格をつくり、足りない部分をダイナミックマイクで補う。
そうすれば音の厚みが増すと期待しました。
さらに、ダイナミックマイクで拾ったピッキングノイズやキラキラ感(主に高音域)を持ち上げると、ドラムのハイハットのようなリズム効果が出るのではないかと考えました。
実際、期待どおりでした。
- RODE NT1-A
- コンデンサーマイク。骨格をつくる
- SHURE SM58
- ダイナミックマイク。ライブでおなじみの定番
SM58は単独では録音に向きませんが、コンデンサーマイクとのブレンドで使う分には十分に使えると実感しました。
2トラック同時に録音する手順
Logic Proの場合はこうです。
- トラック1のInput1に、コンデンサーマイクをオーディオインターフェースのIN1で接続する
- トラック2のInput2に、ダイナミックマイクをIN2で接続する
- 両方のトラックの録音可能ボタンをオンにする
- 録音ボタンで同時に録る
これでトラック1にコンデンサー、トラック2にダイナミックの音が別々に録れます。
どの割合でブレンドするか、どう削るかは、それぞれのトラックでミックスしていきます。
- → オーディオレコーディングの始め方
- → グループ機能の使い方……2本を連動させて扱う
- → イコライジングのやり方|EQは引き算
アクセントをずらすという小技
ある意味、小技です。
エイトビートの8分音符1個ぶん、左右のバッキングギターのアクセントを意図的にずらす。
そういう部分をつくると、独特なサウンドが生まれます。
サビのコードリフで使っています。
これがすごく気持ち良くて、個人的に大好きなんですよね。
結果としてステレオのグルーヴ感が生まれ、1+1が2以上になります。
②ボーカルの録音

いちばんおすすめしたいのがループレコーディングです。
正直に書くと、僕は録音作業の中でボーカルがいちばん苦手です。
緊張して力が入りすぎて、うまく歌えなくなる。基本、何回も録り直します。
弾き語りをやっている人で、歌入れが苦手な人はけっこういるんじゃないでしょうか。
ループレコーディングとは
指定した箇所を何回も繰り返し録音できる機能です。
サビの前半4小節だけ、というように気になる箇所を指定して録れます。
Logic Proなら、範囲指定してから録音すると自動で切り替わります。


間を置かずに何回も録れるので、録音作業の時短にもなります。
僕の録り方
- 最初から最後まで通して歌う
- ワンコーラスずつ何回か歌う
- 苦手な箇所を洗い出して、そこをループレコーディングする
1と2で自分の苦手な箇所が見えてくるので、3で何度も録って詰めていきます。
ループレコーディングなら、ベストテイクを切り貼りする作業も普通よりやりやすいです。
ここでも時短になります。
③コーラスワーク

コーラス入れで重要なポイントは2つあります。
- 発声のタイミングや癖を、メインボーカルに沿わせることを意識する
- 細かい音程のハズレ具合は、気にしすぎる必要はない
つまり、補正できるもの(ピッチ)はプラグインに任せ、補正しにくいもの(タイミングや歌いまわし)は録音でがんばる、ということです。
コーラスではループレコーディングを使わない
ボーカルとの違いはここです。
コーラスの場合、何回録っても違いが分かりにくく、良し悪しを選びにくいんですよね。
どれでもええやん、となる。
僕の場合、コーラスのループ録音は時短になりません。
1テイクか2テイクで決めることが多いです。
流れとしては、順番に全箇所を録ってみて、気になる部分だけ録り直します。
コーラスは音程よりリズム
ノリがとにかく重要です。
ボーカルと同じノリで録ることを常に意識しましょう。
音程はあとで直せます。
④リバーブの使いどころ

ここからが「ちょっとした工夫」です。
演奏やミックスが少し上手いだけでは、普通の作品で終わります。
審査する人に「おっ、ちょっと良いな」と思ってもらう付加価値が要ります。
この曲は、ほぼリバーブゼロ
理由は、臨場感を出したかったからです。
リバーブをかけると演奏が上手に聴こえるように思うんですよ。
だから初心者ほど深くかけがちです。
しっとり歌い上げるバラードなら、意図的に深くかけることもあります。
要は、使いどころが分かっていないといけない。
特にこの曲のようにテンポの速い作品では、リバーブは無しのほうが絶対に良いです。
深くかけると音像がモヤモヤして、曲の良さが薄くなります。
リバーブがないと音像がはっきりする分、シビアな演奏をしないと粗が目立ちます。
そこは気合の録音です。良い演奏をより良く聴かせるのがミックスの役目ですので。
2小節だけリバーブをかける
もう少し踏み込んで、ひとつ変化を持たせました。
実はこの曲、2小節だけリバーブをかけている部分があります。
大サビ直前の2小節で、これは意図して入れているものです。
この2小節があることで、大サビの前後がグッと引き締まる印象になります。
スパイス的な役割ですね。元の料理や素材の良さを引き立たせる。
使ったのはLogic Pro付属の「Space Designer」です。
こういうちょっとした変化が、聴く側にとって他との大きな違いを生みます。
⑤半音ずらしのブルースハープ

こちらは、意図した工夫ではありませんでした。
ピンチから生まれたものです。
この曲は元々Eのキーでした。
録音の段階で、ボーカルのキーが高いので1つ下げようと思ったんです。そのほうが余裕のある歌い方ができると。
そしてE♭でオケをつくり、歌を入れ、ブルースハープを入れる段階で気づきました。

E♭のブルースハープ、持ってないぞ…。
録音の日程的に、買いに行ける日も無くない?
どうしよう、と考えて閃きました。

ピッチ補正できるなら、Eで録ってから半音ずらせばよくない?
俺、天才ちゃん。
ところが、E♭で録ったギターにEのブルースハープを乗せると絶妙に気持ち悪い。
録音がなかなかうまくいきません。
ずっと半音合っていないので、当然ながら気分もノりません。
良いテイクがぜんぜん録れない。

Eでギターを録り直して、それにブルースハープを合わせればよくない?
やっぱりオレ、天才ちゃん。
やった順番
- Eのキーで新たにギターを録る(E♭バージョンもミュートで残しておく)
- Eのブルースハープを録る
- Eのギタートラックを消去する
- ブルースハープを補正する(半音下げてE♭へ)
- E♭のギタートラックのミュートを解除する
結果、音質の劣化も少なく自然に移行できたと思います。
この種明かしを読んだうえで、もう一度聴いてみてください。
意図的ではありませんでしたが、これも「ちょっとした工夫」として実際に評価につながりました。
結果オーライです。
ピンチをチャンスに変えられると、強いですよ。
それもまたひとつの経験になるので、次に活かすチャンスだと思いましょう。
よくある質問

録れコンについて、よくいただく質問は以下のとおりです。
- 高い機材がないと勝負になりませんか?
- 演奏が完璧でないと出せませんか?
- 「ちょっとした工夫」はどう思いつけばいいですか?
- 何から準備すればいいですか?
順番にお答えしていきます。
高い機材がないと勝負になりませんか?
この作品で使ったのは、コンデンサーマイク1本とライブ用のダイナミックマイク1本です。
特別なものは使っていません。
持っているものをどう組み合わせるかのほうが効きます。
演奏が完璧でないと出せませんか?
完璧を目指す必要はありません。
狙うのは80〜90点です。
苦手なところは、ループレコーディングで詰めれば十分に形になります。
「ちょっとした工夫」はどう思いつけばいいですか?
この記事の④と⑤が、まさにその例です。
片方は「テンポが速いからリバーブを切る」という判断、もう片方は機材が無いという困りごとから生まれたものでした。
困ったときこそ、工夫の種があります。
何から準備すればいいですか?
エントリーする理由と流れは、別の記事にまとめています。
クオリティーを上げる考え方はこちらです。
→ 録れコンで入賞したい方へ|楽曲のクオリティーを上げる3つのアドバイス
自分の作品を、誰かの耳で聴いてもらう

宅録は一人で完結します。だから自分の癖には、自分で気づけません。
録音とミックスの技術は、このブログの記事でひととおり身につきます。
ただ、演奏そのものと歌そのものは話が別です。フォームや発声の癖は、その場で見てもらうのがいちばん早いです。
いまはオンラインのレッスンが増えていて、ほとんどの教室が無料体験を用意しています。
歌を伸ばしたい方……ボイトレ教室おすすめ5選|オンライン対応・無料体験ありの音楽教室を比較
ギターや演奏を伸ばしたい方……オンラインギターレッスン・音楽教室のおすすめ8選
1回受けてみるだけでも、自分の弱点が言葉になって返ってきます。
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関連記事で気になるものがありましたらご覧いただけると嬉しいです。
- 録れコンで入賞したい方へ|3つのアドバイス……クオリティーの上げ方
- 録れコンへのエントリーをおすすめする理由……出る前に読む
- ループレコーディングの使い方……歌入れを詰める
- フレックスピッチの使い方……音程を直す
- たった5分でできるマイキングとミキシング……録りから仕上げまで
まとめ

ファイナリストまで残った作品でやったことは、この5つです。
- ①コンデンサーとダイナミックの2本ブレンド+アクセントずらし
- ②苦手な箇所はループレコーディングで詰める
- ③コーラスは音程よりリズム。ノリを合わせる
- ④リバーブはほぼゼロ。大サビ直前の2小節だけかける
- ⑤無い楽器は、半音ずらして手に入れる
狙うのは100点ではなく80〜90点。演奏と録音で70〜80点、ちょっとした工夫で10点です。
技術だけでは「普通の作品」で終わります。ひと工夫が、聴く人にとっての違いになります。
特別な機材も特別な技術も使っていません。
同じ環境の方の参考になれば嬉しいです。
わからないことがあれば、コメントやメッセージでお気軽にどうぞ。
