
高音が出しづらい。。

長く歌うと喉が痛くなる。
こんな悩みを抱えている人は少なくありません。
もし効果的な発声練習法がわからないなら、まずは“リップロール”を試してみましょう。
リップロールとは、唇を震わせながら音を出すトレーニング法で、音程の安定や声帯への負担軽減にとても効果的です。
正しい方法を身につければ、誰でも無理なく習得できます。
この記事では、リップロールの正しいやり方やできない場合の対処法、上達のコツをわかりやすく解説します。
読めば、自宅でも安全に練習できる発声法が身につき、あなたの歌唱力をぐっと引き上げることができるでしょう。
» 自宅でできる!歌がうまくなる具体的な方法を解説
リップロールとは唇を震わせながら音を出す発声技法

リップロールとは、唇を震わせて音を出す発声技法のことです。声帯を直接使わないため、負担が少ない特徴があります。
歌唱やスピーチの練習に使用され、声の柔軟性や可動域を広げる効果があります。
ウォーミングアップやクールダウンに最適で、初心者にも取り組みやすいテクニックです。
リップロールが使用される分野
リップロールは、音楽や声の表現に関わる幅広い分野で活用されている発声技法です。
主に歌唱や発声トレーニングに用いられ、ポップス・ジャズ・クラシックなど、さまざまなジャンルの歌手が取り入れています。
特にロックやR&Bなど、力強くも安定した声が求められるジャンルでは、欠かせない練習法となっています。
また、ミュージカルやアカペラの分野でも重視されており、声の柔軟性や安定性を高めることで、より豊かな表現力を引き出します。
さらに、声帯の疲労軽減や声のコントロールのトレーニングにもなります。
リップロールは歌手だけでなく、次のような分野でも使用されています。
- ビートボックス
- 声優
- ナレーター
- 合唱
- 民族音楽
このように、リップロールは声を使うあらゆる分野で役立つ、基本にして万能な発声トレーニングといえるでしょう。
» 自宅でもできる正しい発声練習のやり方を解説
リップロールの効果

リップロールには、発声や歌唱の質を高めるさまざまな効果があります。主な効果は次の3つです。
- 音程がとりやすくなる
- 声帯への負担を軽減する
- 腹式呼吸しやすくなる
リップロールは特別な道具も必要なく、誰でも簡単に始められるトレーニングです。
毎日の練習に取り入れて、安定した声と豊かな響きを手に入れましょう。
音程がとりやすくなる
リップロールを行うことで、音程の正確性が大きく向上します。
唇の振動を維持しながら発声することで、声帯を微調整する力が高まり、音の高低をより正確にコントロールできるようになります。
また、リップロールは「耳のトレーニング」にも効果的です。
音の上下を意識しながら練習することで、ピッチコントロールの精度と音感の両方を鍛えられます。
リップロールをつづけることで音程のズレが少なくなり、歌のピッチが安定していきます。
結果として、聴いていて心地よい安定した歌声につながります。
声帯への負担を軽減する

リップロールには、声帯をリラックスさせ負担を軽減する効果があります。
声帯を強く閉じずに発声できるため、喉に直接的な負担をかけずに練習でき、声帯の保護にもつながります。
リップロールによって期待できる声帯への主な効果は次のとおりです。
- 声帯の過度な緊張を和らげる
- 声帯の柔軟性を高める
- 発声時の喉の疲労を軽減する
このトレーニングを続けることで、長時間の歌唱や会話の後でも声の回復が早くなり、声帯結節などのリスクを減らす効果が期待できます。
腹式呼吸がしやすくなる
リップロールを習得すると、腹式呼吸が自然とできるようになります。
唇を一定のリズムで震わせながら音を出すため、息の流れをコントロールする感覚が自然に身につきます。
金管楽器を吹く時のように「お腹から呼吸する感覚」がわかってくると思います。
リップロールに慣れてくると「呼吸の基礎」ができるようになってきて、結果として歌唱力全体の向上につながります。
リップロールはまさに、効率的な呼吸技術を身につけるための最適な練習法です。
» 歌が上手くなる腹式呼吸の練習方法を解説
リップロールの正しいやり方

リップロールの基本手順は以下の通りです。
-
STEP1唇を軽く閉じる唇は「深く閉じる」ではなく、軽く合わせる程度。上下の唇の間にほんの少しの隙間があるイメージで、過度に噛みしめないこと。
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STEP2一定の息をゆっくり吐きながら唇を震わせる腹式呼吸で息をコントロールし、息を一定に吐き出します。その息圧で唇をブーッと震わせ、音(声)をのせるとリップロールになります。最初は無声音(唇の振動だけ)でもOK。慣れたら声(母音)を軽く乗せます。
-
STEP3音の高低を変えてみる低音から高音へなめらかに滑らせる(siren)練習や、スケール(ドレミ)を使って短いフレーズで音程の幅を確認します。無理に高く出そうとせず、声帯がリラックスした高さで行ってください。
力を入れすぎずにリラックスした状態を保ち、毎日少しずつ取り組むことで上達していきます。
STEPをひとつひとつ詳しく見ていきましょう。
STEP 1:唇を軽く閉じる
力を入れすぎず、自然に唇を閉じます。(上下の唇が軽く触れる程度にしましょう)
唇の端はしっかり閉じ、形は「ぶ」と発音するときのように軽く丸めるのがコツです。
あごの力を抜き、歯を軽く開けたままにすると自然なポジションを保てます。
STEP 2:息をゆっくりと吐きながら唇を震わせる

口を軽く閉じ、腹式呼吸で息を吸ったら、ゆっくり一定のスピードで吐き出します。
唇に力を入れすぎず、リラックスした状態で「ブーブー」と自然に震えればOKです。
慣れるまでは短時間で構いません。
余分な力を抜き、唇や頬がリラックスしているか鏡で確認しながら練習しましょう。
STEP 3:音の高低を変えてみる
リップロールで音の高低を変える練習は、声帯の柔軟性を高め、音程の正確さを鍛える効果があります。
低音から高音へ、または高音から低音へゆっくり移動しながら、自然に声域を広げていきましょう。
おすすめの練習パターンは次のとおりです。
- スケールを使って段階的に上昇・下降する
- 自分の音域内で上下を繰り返す
- 3度や5度など特定の音程を行き来する
無理に高音・低音を出さず、自分の声域に合った範囲で行うことが大切です。
慣れてきたらメロディーラインに沿ってリップロールを行い、実際の歌唱に近い形で音程感覚を鍛えましょう。
リズムパターンを変えて練習すれば、より実践的なトレーニングになります。
» 音域の基本知識から音域チェック方法、曲の選び方まで解説!
リップロールがうまくいかないときの対処法

リップロールを試してみたけれど、「うまく唇が震えない」「息が続かない」と感じることはよくあります。
そんなときは、次のポイントを意識してみましょう。
- 力みを抜く
- 唇の乾燥を避ける
これらを意識するだけで、リップロールの感覚がぐっとつかみやすくなります。
それぞれの対処法を具体的に見ていきましょう。
力みを抜く
力みを抜くことは、リップロールを成功させるうえでとても重要です。
力を入れすぎると唇がうまく震えず、音も出にくくなります。
リラックスした状態で行うために、次のポイントを意識しましょう。
- 肩や首の力を抜き、表情をリラックスさせる
- 深呼吸をして全身の緊張をほぐす
- 唇に力を入れすぎないよう意識する
唇を軽く閉じ、息を「ふわっ」と吐き出すイメージで練習してみてください。
鏡を見ながら顔の力みをチェックするのも効果的です。表情が硬くなっていないか確認しながら、焦らず自分のペースで練習しましょう。
失敗を恐れずに、楽しむ気持ちで続けることが上達への近道です。リラックスした状態を保てれば、自然と唇の震えがスムーズになっていきます。
唇の乾燥を避ける
唇の乾燥を防ぐことは、リップロールをスムーズに行うためにとても重要です。
乾燥した唇では空気がうまく流れず、滑らかに震えにくくなります。日常的に唇を保湿し、潤いを保つようにしましょう。
- リップクリームで保湿する
練習前後にリップクリームを塗ることで、唇の摩擦を防ぎ、振動がスムーズになります。 - 水分をこまめに摂る
十分な水分補給は、体の内側から唇の潤いを保つのに効果的です。 - 環境を整える
乾燥しやすい季節や部屋では加湿器を使用し、就寝時に保湿マスクを使うのもおすすめです。 - 唇を舐めないようにする
一時的に潤ったように感じても、唾液の蒸発とともにさらに乾燥してしまいます。
また、ビタミンB群を含む食品を摂ることで、唇の健康状態を内側からサポートできます。
日々のケアを続けることで、唇の状態が安定し、リップロールの練習がぐっとしやすくなります。
リップロールを上達させる方法

では、リップロールが上達するにはどうしたらよいでしょうか。
リップロールを効率よく上達させるためのポイントは以下のとおりです。
- 日常的に練習する
- さまざまな音程で挑戦する
毎日少しずつでも練習を続けることで、唇のコントロール力や呼吸の安定性が向上します。
次のセクションで、具体的な上達のコツを詳しく見ていきましょう。
日常的に練習する
慣れるまでは、短時間でも毎日継続して行うことが大切です。
歯磨き中や入浴中など、日常生活のすき間時間を活用して練習してみましょう。
通勤中や家事の合間にも取り入れれば、効率的に練習時間を確保できます。
スマートフォンのタイマーや練習アプリを活用するのもおすすめです。
練習効果を高めるには、「見える化」も重要です。練習日記をつけて進捗を記録したり、録音して自分の変化を確認したりしましょう。
家族や友人に聞いてもらってフィードバックを得るのも効果的です。オンラインコミュニティで他の練習者と情報交換するのも刺激になります。
日常生活の中で少しずつ練習を重ねることで、リップロールの技術は確実に向上します。焦らず継続することが、上達への最短ルートです。
さまざまな音程で挑戦する
さまざまな音程でリップロールに挑戦することは、技術を早く習得するために非常に効果的です。
低音から高音まで幅広い音域で練習することで、声の柔軟性と安定感を高められます。
具体的な練習方法は以下のとおりです。
- 音階を使って上下に動かす
- 一定の音程をキープする
- 実際のメロディーラインに合わせて行う
これらを繰り返すことで、音高の変化をスムーズに行えるようになります。
自分の声域の限界に少しずつ挑戦することも大切ですが、無理は禁物です。
喉に負担をかけない範囲で、徐々に音域を広げていきましょう。
また、異なるリズムパターンで音程を変える練習も効果的です。
高音域ではリップロールの安定性を意識し、低音域では共鳴を感じるように練習すると、より豊かな響きを得られます。
音高の急激な変化にも対応できるようになれば、どんな曲にも柔軟に対応できる発声技術が身に付きます。
リップロールに関するよくある質問

リップロールに関する疑問や不安を解消するため、よくある質問と回答をまとめています。
Q1. リップロールがうまくできません。どのくらいでできるようになりますか?
個人差はありますが、毎日5〜10分程度の練習を続けることで、1〜2週間ほどで安定してできるようになる人が多いです。
最初のうちは音が途切れたり、唇が震えにくかったりしても問題ありません。
焦らずに「息の流れ」と「力みを抜く感覚」を意識して練習を続けましょう。
Q2. リップロールとタングトリルはどう違うのですか?
リップロールは唇を震わせるのに対し、タングトリルは舌を震わせて行う発声法です。
どちらも呼吸のコントロールや声帯のウォーミングアップに効果的ですが、リップロールの方が息の流れを意識しやすく、初心者でも取り組みやすいのが特徴です。
Q3. リップロールの練習はどのくらいの頻度で行えばいいですか?
毎日少しずつ練習するのが理想です。
1回あたり3〜5分でも十分効果があります。
歌う前のウォーミングアップや、喉の調子を整えたいときに取り入れるのもおすすめです。
無理に長時間行うより、短時間を継続する方が効果的です。
Q4. 他の発声練習と組み合わせられますか?
はい、リップロールは他の発声練習と組み合わせることで、より効果的なトレーニングが可能です。
たとえば、ブレスコントロール練習と一緒に行ったり、ハミング練習の前後に取り入れたりするのがおすすめです。
また、スケール練習や母音練習と組み合わせると、呼吸の安定や音程の正確性、声の響きの改善にもつながります。
ウォーミングアップエクササイズの一部として取り入れるのも効果的です。
自分の声の状態や目的に合わせて練習を組み合わせ、日々の発声トレーニングに取り入れてみましょう。
まとめ

リップロールは、唇を震わせて行う発声練習で、音程の安定や喉の負担軽減などに効果的です。
正しいコツを意識すれば、初心者でも短期間で歌いやすい声に変わります。
ウォーミングアップや高音練習にも最適なので、「喉を痛めずに歌いたい」「声をスムーズに出したい」という方は、ぜひ毎日の練習に取り入れてみてください。
リップロールを習慣にすれば、あなたの歌声は確実に変わります。
