録音した演奏のリズムのズレは、Logic ProのFlex Timeであとから直せます。
何テイクも録り直す必要はありません。

こんにちは!弾き語りライブ歴20年以上、宅録コンテスト「録れコン」ファイナリストのほっしー(@studiohossy)です。

Flex Timeが、波形の中から「音の始まり」を自動で見つけてくれるからです。
あとは、その点をつまんで正しい位置へ動かすだけです。

ただし、やり方を知らずに動かすと周りの音まで一緒にズレていきます。
ここでつまずいて「使えないツール」だと思ってしまう方が多いところです。

読み終わるころには、下の「ビフォー」を「アフター」にできるようになります。

Flex Timeで、リズムのズレはここまで直せる

先に、実際の音を聴いてみてください。
アコギのストロークで、コード進行はG → C → G → D7 → Gです。

ビフォー(補正前)
CとD7のところが、特にもたついています。

アフター(補正後)

弾き直したわけではありません。
同じテイクの、音の位置を動かしただけです。

リズム補正が使えるようになると、録音にかける時間が目に見えて減ります。「あと1回だけ」を10回繰り返すより、1テイク録って気になる2〜3箇所を直すほうが速いからです。

演奏の勢いが残ったまま仕上がるのも、地味に大きな利点です。

音程のズレを直したい場合は、こちらの記事をどうぞ。
ピッチ補正のやり方|音程の外れた歌を自然に直す手順

Flex Timeの使い方【5ステップ】

手順は以下のとおりです。

  1. リージョンをダブルクリックしてエディターを開く
  2. Flexボタンを押して解析する
  3. 補正の種類から「Flex Time」を選ぶ
  4. 楽器に合ったアルゴリズムを選ぶ
  5. ピンを打って、ズレた音を動かす

それぞれ順番に解説していきます。

1. リージョンをダブルクリックしてエディターを開く

補正したいトラックのリージョンをダブルクリックします。
画面の下にエディターが開きます。

2. Flexボタンを押して解析する

赤で囲った部分がFlexボタンです。
押すとリージョンの解析が始まり、波形に細い縦線が並びます。

この縦線が「音の始まり」です。
ここを動かすことでリズムを直します。

3. 補正の種類から「Flex Time」を選ぶ

補正には、音程を直すFlex Pitchと、タイミングを直すFlex Timeがあります。
今回はリズムなので、Flex Timeを選びます。

4. 楽器に合ったアルゴリズムを選ぶ

Flex Timeの中には、さらに種類(アルゴリズム)があります。
ここを間違えると、音が不自然にゆがみます。

選び方は次の見出しでまとめているので、そちらを見てください。

5. ピンを打って、ズレた音を動かす

まず、ストロークが遅れているところを、矢印の位置まで戻したいとします。

このとき、動かしたい音だけをつまんで引っぱると、前後の音まで一緒にズレていきます。

そこで使うのがピンです。
直したい音の前と後ろに1本ずつピンを打ってから、間の音を動かします。

こうすると、ピンの外側の波形には一切影響しません。
直したい部分だけをピンポイントで動かせます。

もう一箇所直します。
今度は逆に、本来よりタイミングが早い音です。

同じようにピンで挟んで、正しい位置まで動かします。

できました。
1箇所直すと前後が不自然になることが多いので、聴きながら少しずつ繰り返していきます。

4つのアルゴリズムの選び方

Flex Timeには6種類ありますが、実際に使うのは4つだけです。
楽器で選べば迷いません。

Monophonic(モノフォニック)
一度に1つの音しか出さない楽器向け。ベース、ギターソロ、歌など。
Polyphonic(ポリフォニック)
一度に複数の音を出す楽器向け。ピアノ、バッキングギターなど。
Slicing(スライシング)
音程を持たないリズム楽器向け。ドラムなど。
Rhythmic(リズミック)
リズムを刻む楽器全般に。リズムギター、ドラム、キーボードなど。

残る2種類(SpeedとTempophone)は特殊な効果を作るためのもので、リズム補正ではまず使いません。

弾き語りの宅録なら、アコギのストロークはRhythmic、歌はMonophonicから試してみてください。

自然に仕上げるための3つのコツ

操作を覚えたあとに差が出るのは、この3つです。

ジャストに揃えすぎない

すべての音をグリッドぴったりに揃えると、打ち込みのような硬い演奏になります。

人の演奏には、もともと細かい揺れがあります。
直すのは「明らかに気持ち悪い」箇所だけにとどめましょう。

直したら必ず前後を聴き返す

1箇所動かすと、その前後の間合いも変わります。

その箇所だけを再生しても気づけないので、数小節前から通して聴くのが確実です。

動かしすぎたら元に戻せる

Flexは元の音声ファイルを書き換えていません。
おかしくなったら、Flexボタンをオフにすれば録ったままの状態に戻ります。

失敗しても壊れないので、思い切って触ってみてください。

Logic Proの操作をひととおり体系的に学びたい方には、MASTER OF Logic Pro[改訂第4版]という書籍がおすすめです。僕も持っていて、困ったときに引く辞書のように使っています。


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Flex Timeについてよくある質問

よくいただく質問は以下のとおりです。

  • 音を動かすと、まわりの音までズレてしまう
  • 補正した音がぶよぶよして不自然になる
  • そもそも録り直したほうが速いのでは?

順番にお答えしていきます。

音を動かすと、まわりの音までズレてしまう

ピンを打っていないことが原因です。

直したい音の前後に1本ずつピンを打ってから動かすと、外側には影響しません。
つまずく方のほとんどがここです。

補正した音がぶよぶよして不自然になる

アルゴリズムが楽器に合っていない可能性が高いです。

和音を弾いているのにMonophonicを選んでいる、といったケースがよくあります。
アコギのストロークならRhythmicかPolyphonicを試してください。

それでも不自然なら、動かす量が大きすぎます。
Flexは万能ではないので、大きくズレたテイクは録り直したほうが速いです。

そもそも録り直したほうが速いのでは?

ズレが大きいときはそのとおりです。

ただ、「演奏は良いのに1箇所だけ惜しい」テイクを救えるのがFlexの価値です。
録り直すと、その良かった部分まで失われます。

気になる箇所が2〜3個ならFlex、全体的にヨレているなら録り直し——という使い分けがおすすめです。

あわせて読みたい記事

関連記事で気になるものがありましたらご覧いただけると嬉しいです。

まとめ

もう一度、補正の前後を聴いてみてください。

ビフォー

アフター

Flex Timeで覚えることは、実質2つだけです。

  • 楽器に合ったアルゴリズムを選ぶ(アコギのストロークならRhythmic)
  • 直したい音の前後にピンを打ってから動かす

そして、揃えすぎないこと。人の演奏の揺れまで消してしまうと、かえって聴きづらくなります。気になる箇所だけを直すのがコツです。

元の音声は書き換えられないので、失敗しても戻せます。まずは1箇所だけ動かしてみてください。

録り直しの回数が減ると、宅録はぐっと楽しくなりますよ。

わからないことがあれば、コメントやメッセージでお気軽にどうぞ。

ABOUT ME
ほっしー
サラリーマンをしている宅録系ブロガー。 『宅録をしたことのない人が、機材を揃えて作品を作ったり「歌ってみた」「演奏してみた」などで自由に表現できるようになる』をテーマに日々ブログを書いています。 宅録でアルバム3作品をすべて自分で制作した経験あります。 島村楽器主催の宅録コンテスト【録れコン】で全国約3000曲の中から最終選考ノミネートされました。