ギターを始めたばかりの方にとって「ピッキング」は意外と大きな壁になりがちです。
うまく音が鳴らない、リズムが崩れる、速く弾けない……そんな悩みを感じている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、ギターピッキングの基礎から応用テクニックまでを分かりやすく解説します。
さらに、効率よく上達するためのコツや、具体的な練習方法も紹介!
読み終わる頃には、あなたのピッキングはぐっと安定し、より豊かなギタープレイが楽しめるようになるはずです。
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ギターピッキングの基礎

ギターピッキングとは、ピックや指を使って弦を弾くテクニックのことです。スタイルによって弾き方やニュアンスが異なり、それぞれに利点や使いどころがあります。クリアな音色と正確なリズムで演奏するために欠かせない要素であり、演奏に適したピックの選び方や正しい姿勢を身につけることで、効率的にピッキングが上達します。
ここでは、ギターピッキングにおける次の2点を詳しく解説します。
- ギターピッキングの目的
- ギターピッキングの重要性
ギターピッキングの目的
ピッキングを練習する最大の目的は、演奏の精度を高めることにあります。リズムとタイミングを安定させることで、よりクリアで美しい音色を奏でられるようになります。また、弦の振動を繊細にコントロールできるようになるため、音色に変化をつけたり、速いテンポの曲でもスムーズに演奏できたりと、表現の幅がぐっと広がります。
ピッキングを磨くことで、ただ音を鳴らすだけでなく、感情を込めた演奏をすることができます。
ギターピッキングの重要性
ギターピッキングは、演奏の質を大きく左右する非常に重要な要素です。ギターピッキングが重要な理由としては、次のような点が挙げられます。
- 正確性とスピードを向上させるため
- 音色や強弱のニュアンスを表現するため
- ソロやリフでより豊かな表現力を生むため
ピッキングが安定すると、演奏全体のクオリティが上がり、音の輪郭やトーンもクリアになります。また、音の強弱やタッチをコントロールできるようになり、自分らしい演奏表現が可能になります。特にギターソロやリフを弾くときには、その表現力が演奏に深みや感情を加えてくれます。
ピッキングが上達することは、単に技術面の向上にとどまらず、音楽的な魅力を引き出すためにも非常に大切です。
ギターピッキングの基本テクニック

ギターピッキングには、演奏の基礎を支える重要なテクニックがいくつかあります。代表的なものは次の3つです。
- ダウンピッキング
- アップピッキング
- オルタネイトピッキング
それぞれの特徴とコツを詳しく解説します。
ダウンピッキング
ダウンピッキングは、ピックを上から下へと弦に当てて鳴らす基本的なテクニックです。特にリズムギターの演奏でよく使われ、リフやパワーコードを弾く際に威力を発揮します。
ピックの角度や弦への当たり方を工夫することで、力強くて歯切れの良い音を出すことができます。特にメタルやロックなど、硬質で重みのあるサウンドを求めるジャンルでは欠かせないテクニックといえるでしょう。
ダウンピッキングをしっかりマスターすると、演奏全体の安定感と表現力がぐんと向上します。
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アップピッキング

アップピッキングは、ピックを下から上へと振り上げて弦を弾くテクニックです。高音弦を明瞭に響かせるのに適しており、比較的軽い力で鳴らすことができます。
速いフレーズや細かい音符を演奏する際にも便利で、リズムのアクセントやニュアンスの付け方をコントロールするためにも重要です。
アップピッキングは単体で使われることはほぼなく、ダウンピッキングと組み合わせて使います。
オルタネイトピッキングの一部として使われることが多く、アップピッキングをうまく使えるようになると、演奏の表現力やスピードが大きく向上します。
オルタネイトピッキング
オルタネイトピッキングは、ダウンピッキングとアップピッキングを交互に繰り返すテクニックです。この方法を習得することで、速いテンポや複雑なフレーズもスムーズかつ安定して演奏できるようになります。
ポイントは、手首を柔らかく使い、ピッキングの動きをできるだけ小さくすること。そして、メトロノームを使いながら練習することで、リズム感を鍛えつつ正しいピッキングテクニックを習得できます。
オルタネイトピッキングはジャンルを問わず活用されるため、多くのギタリストにとって必須のテクニックです。マスターすれば、より速く複雑な曲も楽に対応でき、演奏の幅と深みが一段と広がります。
ギターピッキングの応用

基本的なピッキングテクニックをマスターしたら、さらに表現力と演奏の幅を広げるために、応用テクニックにも挑戦してみましょう。代表的な応用テクニックは以下の3つです。
- ハイブリッドピッキング
- エコノミーピッキング
- スウィープピッキング
これらは難易度が高いため、基礎をしっかり身につけてから取り組むのがおすすめです。
ハイブリッドピッキング
ハイブリッドピッキングは、ピックと指を同時に使ってメロディとベースラインを同時に奏でるテクニックです。曲に立体感や繊細さを加えることができ、演奏の表現力を一気に引き上げてくれます。
特にカントリーミュージック、ジャズ、ロックなどさまざまなジャンルで活用され、複雑なフレーズもより滑らかに弾けるようになります。
J-POPでも、1曲の中でストロークとアルペジオを行き来するような表現のところでハイブリッドピッキングが使われることが多いです。
マスターするには、弦を正確にとらえる指の動きや、ピックと指で同時に弾くためのコントロールが重要です。練習を重ねることで、演奏の正確性とスピードも自然と向上します。
エコノミーピッキング

エコノミーピッキングは、ダウンピッキングとアップピッキングを効率よく組み合わせて、ピックの動きを最小限に抑えるテクニックです。無駄な動きを減らすことで、高速で滑らかな演奏が可能になります。
隣り合う弦への移動もスムーズになり、アルペジオやスケールの速弾きで特に力を発揮します。一度マスターすれば、複雑で速いフレーズもより正確かつクリアに弾けるようになります。
練習の際は、メトロノームを使ってゆっくりしたテンポから始め、少しずつスピードを上げていくのがおすすめです。
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スウィープピッキング
スウィープピッキングは、ピックを一方向に「掃く」ように動かしながら連続した音を奏でるテクニックです。流れるような速いアルペジオを弾くときに使われ、見た目にもとても華やかです。
このテクニックでは、左手の指の動き(ローリング)が特に重要で、弦を押さえる・離す動作を素早く正確に繰り返す必要があります。
難易度は高いですが、練習を重ねることで速度と精度が向上し、演奏の幅がさらに広がります。
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タイプ別おすすめピックはこれ!

ギターの弾き方やジャンルによって、弾きやすいピックは異なります。
ここでは、演奏スタイルや目的に応じたピックの選び方をタイプ別にご紹介します。
自分に合うピックを探す参考になれば嬉しいです!
オールジャンルでおすすめできるのは「ティアドロップ型ピック」
弾き語りのバッキングギターからエレキギターのソロまで、幅広いジャンルで使いやすいのが「ティアドロップ型」のピックです。

僕は以前「トライアングル型」を使っていましたが、今はティアドロップ型をメインで使っています。弾き語りにもアイリッシュギターにも使いやすくて重宝しています。
ピックの厚さで選ぶ
ピックの厚さは大きく分けて4種類あります。
- Thin(0.4〜0.6mm程度)
- Medium(0.6〜0.8mm程度)
- Heavy(0.9〜1.2mm程度)
- Extra Heavy(1.2mm以上)
ストローク中心で軽やかな雰囲気を出したいならThin、コード弾きから単音弾きまで幅広く対応したいならMedium、リードプレイやパワーコードを力強く弾きたいならHeavy、ジャズやテクニカルなソロにはExtra Heavyが向いています。
メーカーや材質によって使い心地も変わりますが、筆者が愛用しているのは「JIM DUNLOP (ジムダンロップ) / TORTEX STANDARD 0.60」。
Mediumの中でもやや薄めで、柔らかすぎず硬すぎないちょうど良さがあり、とても扱いやすいです。サウンドハウスなどでまとめ買いするほどのお気に入りです。
アイリッシュの軽快な伴奏をする方にはこちらもおすすめ。
ジャズや速弾きなど、より硬めでエッジの効いた音が欲しい方は、次のようなかため&尖ったタイプのピックが良いと思います。
弾き語りのストロークでおすすめなのは「トライアングル型ピック」
通称「おにぎりピック」と呼ばれることもありますね。
三角形の形状で特に握りやすく、ストロークの安定感が抜群です。細かい単音プレイには向きませんが、弾き語りの伴奏にはぴったりです。
特に人気が高いのが「JIM DUNLOP / TORTEX TRIANGLE 0.60mm」。
「オレンジピック」という愛称でも親しまれていて、絶妙な柔らかさがあり、ストロークで心地よいサウンドを作りやすい設計です。
アコギ弾き語りでは、このオレンジピックを使っている方が本当に多い印象です。
JIM DUNLOP / TORTEX TRIANGLE 0.60mmカントリーやブルーグラス系は「サムピック」がおすすめ
まだ使ったことのない方も多いかもしれませんが、「サムピック」は親指に装着して使う特殊なピックです。
サムピックは、アルペジオでベース音をはっきりと響かせたいときにとても便利。特にカントリーやブルーグラスで、親指でベースラインを刻みながら人差し指・中指でメロディやオブリガートを入れるスタイルでよく使われます。
サムピックには大きく分けて2種類あります。
まずはこちらがスタンダードなタイプ。
FRED KELLY ( フレッドケーリー ) / Slick Pick Medium
もうひとつが幅広タイプで、フラットピックとサムピックが合体したような形をしています。アルペジオとストロークを行き来しながら弾くのに向いています。
K.YAIRI ( ケーヤイリ ) / POPピック Heavy Shell
Amazonや楽天だと5枚入りからしかなくサムピックはそうそう買い替えるものでもないので、1枚単位で購入できるサウンドハウスがおすすめです。
ギターピッキングの練習方法

ギターピッキングを上達させるためには、毎日の練習の積み重ねがとても大切です。ここでは、次の3つのポイントに分けて効果的な練習方法を紹介します。
- 基本的な練習ルーティン
- 毎日取り入れたい練習
- 上達に効果的な練習
これらを意識して練習を続ければ、ピッキングの精度が上がり、より複雑なフレーズや高度なテクニックにも挑戦できるようになります。
基本的な練習ルーティン
まずはダウンピッキングやアップピッキングなど、基本的なテクニックを丁寧に練習することから始めましょう。それぞれを1日10分程度、集中して取り組むのがおすすめです。
さらにスケール練習やアルペジオを取り入れることで、手の動きとピッキングの精度を同時に鍛えることができます。メトロノームを使って一定のリズムを意識し、最初はゆっくりとしたテンポからスタート。正確さを意識しながら、少しずつテンポを上げていきましょう。
長時間一気に練習するよりも、短い時間を何度も繰り返すほうが効果的です。
毎日取り入れたい練習

毎日の練習に取り入れたいのが、スケール練習やクロマチックエクササイズです。これらを続けることで、指の動きが滑らかになり、様々な曲の演奏がスムーズになります。
メトロノームを使ってリズム感を養う練習も非常に重要です。同じテンポで演奏を繰り返すことで、リズムが安定し、演奏の精度がぐんと向上します。
また、異なるピッキングテクニックを組み合わせて練習すると、より複雑で表現豊かな演奏ができるようになります。短いフレーズを繰り返し練習し、慣れてきたら少しずつ難易度を上げてみましょう。
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上達に効果的な練習
さらに演奏をレベルアップさせるために、次のような練習を取り入れるのがおすすめです。
- メトロノームを使ってリズムとタイミングを整える
- スケールとアルペジオを組み合わせて弾く
- 異なるテンポでオルタネイトピッキングを練習する
- ピッキングパターンを変えてみる
- 自分の演奏を録音して聴き返す
メトロノーム練習はリズム感と一貫性を保つのに効果的ですし、スケールやアルペジオを交互に練習することで指の柔軟性とテクニックも向上します。テンポを変えてオルタネイトピッキングを練習することで、速さと精度のバランスも改善されます。
ピッキングパターンを変えると様々な音楽ジャンルへの適応力が身につきますし、録音して客観的に聴き直すことで、自分の弱点や癖を発見して改善できます。
練習は10分程度の短時間で集中し、練習の合間にはしっかり休憩を取り無理をしないことも大切です。また、好きなギタリストの演奏を聴いて学ぶのも、非常に良い刺激になります!
ギターピッキングが上手くいかないときの対処法

ピッキングが思うように決まらないときは、焦らず次のポイントを見直してみましょう。
- ピックの持ち方を見直す
- 弦の押さえ方を改善する
- ピッキング速度を調整する
少しずつ改善を重ねることで、自然と安定したピッキングができるようになります。
ピックの持ち方を見直す
ピックの持ち方を正しくするだけで、ピッキングの精度と音質は大きく変わります。
基本は、人差し指と親指で軽くつまむように持ち、ピックの先端が少しだけ出る程度に調整するのがポイントです。
滑りを防ぐために、表面がザラついているピックを選ぶのもおすすめです。また、ピックを握る力は強すぎず弱すぎず、リラックスした状態を意識しましょう。弦に対してピックをやや直角に近い角度で当てることで、弦離れが良くなりスムーズにピッキングできます。
持ち方を変えるときは急に全部を変えるのではなく、少しずつ慣らしていくと無理なく自然に移行できます。
弦の押さえ方を改善する

ピッキングが上手くいかない原因は、弦の押さえ方にもある場合があります。
指の腹を使ってしっかり弦を押さえ、他の弦に触れないように注意しましょう。
フレットのすぐ近くを押さえると、よりクリアでノイズの少ない音が出せます。また、必要以上に力を入れず、適度な力加減を意識することも大切です。無駄な力を抜くことで不要な弦振動が抑えられ、より澄んだ音が出ます。
毎日の練習を通じて指の筋力と柔軟性が鍛えられると、自然に正しい押さえ方が身についてきます。
最初は指先が痛くなりますが、そのうち指先が硬くなりまったく痛くなくなります。それまでは毎日少しずつ(無理をせず)ギターに触れる癖をつけるだけでよいです。
ピッキング速度を調整する
速く弾こうとしてミスが増えるときは、まず速度を落として練習してみましょう。
メトロノームを使って、ゆっくりとしたテンポでピッキングの正確さを確認しながら練習します。そして慣れてきたら、少しずつテンポを上げていきます。
特定のフレーズやパターンを繰り返し練習しながら、徐々に速度を上げていく方法はとても効果的です。ポイントは、常にリラックスした姿勢を保ち、余計な力を抜くこと。力み過ぎると疲れやすく、正確性も失われがちです。
速いテンポで演奏したときに出るミスを分析し、何が原因かを探ることも大切です。こうした工夫を続けることで、より安定したピッキングができるようになります。
ギターピッキングに関するよくある質問

ギターピッキングを練習していると、誰でも一度はつまずいたり疑問に思うことがあります。
ここでは、よくある質問とその解説をまとめました。初心者の方も、さらにテクニックを磨きたい方も参考にしてください。
初心者が陥りやすいピッキングの落とし穴は?
ギターを始めたばかりの方がよく悩むポイントは、次のような点です。
- ピックの選び方
- ピックの持ち方
- 弦を弾くときの角度
- ダウンピッキングとアップピッキングのバランス
- ピッキングの動き
ピックには様々な厚みや形状があり、合わないものを使うと弾きにくく感じることもあります。自分の演奏スタイルやギターに合うピックを試してみるのが大切です。
ピックは強く握りすぎず、角度も真っ直ぐすぎたり斜めすぎないように調整します。ピッキングの動作は大きすぎると速いフレーズが弾きにくくなるので、できるだけ小さくスムーズに動かすのがコツです。
また、練習ではスピードを重視しすぎないように注意しましょう。メトロノームを使ってリズムを整え、基礎を固めてから応用テクニックに進むと効率的です。
ピッキング速度を速くするにはどうすればいい?

速さを追求するには、正しいテクニックと体の使い方がとても大切です。まずはリラックスした状態でピックを握り、肩や腕の力を抜きましょう。
オルタネイトピッキングをメトロノームに合わせて練習し、徐々にテンポを上げていきます。短いフレーズを繰り返し練習することで、手の動きがスムーズになり、自然と速度が上がります。
また、厚さや素材の違うピックを試すことで、自分に合ったピッキングのしやすい感覚を見つけることもできます。精度を大切にしながら練習を積み重ねていきましょう。
アコースティックギターとエレキギターのピッキングの違いは?
アコースティックギターでは、広いダイナミックレンジと繊細な表現が求められるため、柔らかいタッチや指弾き(フィンガースタイル)が多用されます。ナイロン弦やスチール弦によってもタッチの強さや感覚が変わるため、それぞれに合わせたアプローチが必要です。
一方で、エレキギターはアンプやエフェクトを使うことで音作りの幅が広がり、速弾きやリフ中心の演奏も多くなります。ピッキングではアタック感やスピードが特に重要になり、ピックの形状や素材によって歪みの乗り方や音の明瞭度も変わります。
エレキギターとアコースティックギターでは求められる表現やスタイルが異なるため、それぞれに合ったピッキング方法を学んで練習するのがおすすめです。
まとめ

ギターピッキングは、演奏の正確さや表現力を大きく左右する大切なテクニックです。
基本のダウンピッキング・アップピッキング・オルタネイトピッキングをしっかり練習し、慣れてきたらハイブリッドやエコノミー、スウィープピッキングなどの応用にも挑戦しましょう。
メトロノームを活用しながら無理のない速度で練習を重ねることで、徐々に精度とスピードが向上します。また、自分の演奏を録音して客観的に確認することも効果的です。
毎日の積み重ねが上達への近道ですので、焦らず楽しくピッキングを練習していきましょう。