「歌唱力を向上させたいが、どうすればいいかわからない」と悩む方は多くいます。高音域での表現力や声帯への負担は、趣味で音楽を楽しむ方にとって大きな課題です。

エッジボイスという発声技術を身に付けることで、歌唱力の幅が広がります。

こんにちは!弾き語りライブ歴20年以上、ギター講師の経験もあるほっしー(@studiohossy)です。

エッジボイスは「ボーカルフライ」とも呼ばれる、声を「あ゛ーーー」と低くきしませる発声です。ドアの軋む音、といえば伝わるでしょうか。

見た目は地味な練習ですが、これができると「声帯を閉じる」という感覚が体で分かるようになります。ミックスボイスがなかなか掴めない人が、エッジボイスを経由した途端に一気に進む——というのは、講師をしていてよく見た光景でした。

つまりエッジボイスは、曲中の表現としてだけでなく、他の発声を身につけるための入り口としても価値があります。

→ 高音を楽に出したい方はミックスボイスの正しい出し方、響きの位置を作りたい方はハミングのやり方もどうぞ。

エッジボイスとは?「ボーカルフライ」とも呼ばれる低い声

エッジボイスはボーカルフライとも呼ばれ、声帯を軽く閉じたまま、ごく少ない息で「あ゛ーーー」と低く鳴らす発声です。

音としては「ぷつぷつ」「ぎしぎし」という、揺れた質感になります。ドアが軋む音、あるいは朝起きた直後のいちばん低い声を思い浮かべてもらうと近いです。

ここで大事な点をひとつ。

エッジボイスは「低い音域」で起きる現象です。高音を出すための技術ではありません。ネット上には高音域の技術として紹介している情報もありますが、それはミックスボイスなど別のものと混同されています。

エッジボイスは何のために練習するのか

エッジボイスの価値は、曲の中で使うこと以上に「声帯を閉じる」という感覚を体で覚えられるところにあります。

声帯を閉じる感覚は言葉で説明しにくく、多くの人がここでつまずきます。エッジボイスは閉じないと絶対に鳴らないので、鳴った瞬間に「これか」と分かるんですね。

この感覚がミックスボイスの土台になります。→ ミックスボイスの正しい出し方

曲の中ではどう使う?

表現として使う場合は、ごく短く、少量です。

  • 歌い出しのアタック……一語目の頭に軽く乗せると、フッと引き込む入り方になります
  • 語尾の余韻……フレーズの終わりを少しかすれさせて、感情の余韻を残します
  • ため息のような表現……力の抜けた雰囲気を出したいとき

サビで多用するものではありません。あくまで隠し味で、使いすぎると聴きづらくなります。

エッジボイスを出すためのウォームアップ

エッジボイスを出すには適切なウォームアップが欠かせません。ウォームアップとして効果的なリップトリルやハミングについて詳しく解説します。

リップトリル

リップトリルは、声帯をリラックスさせる効果的な発声練習法です。初心者でも取り組みやすい基本的な発声エクササイズの一つとして、多くの声楽家やボーカリストに愛用されています。

朝一番のウォームアップや、長時間の歌唱前の準備運動として最適な練習方法です。

リップトリルのやり方は、口を軽く閉じて唇を震わせながら息を吐き出すことです。声帯の緊張をほぐし、滑らかな発声を促進する効果があります。

1日たった数分間の練習で、声の調子を整えられます。過度に行うと唇が疲れるので、適度な時間で行いましょう。

音程を変えながら行うことで、声の可動域を広げる効果も期待できます。
» リップロールとは?得られる効果と正しいやり方を紹介

ハミング

ハミングは、エッジボイスの基礎練習としてとても効果的です。口を閉じて鼻から息を出しながら「んー」と発声する練習を行います。声帯を軽く閉じた状態で発声するため、エッジボイスの感覚をつかむのに役立ちます。

喉に力を入れすぎないよう注意しながら行いましょう。

ハミングは徐々に時間を延ばすことで、息の流れをコントロールする練習にもなります。口腔内の共鳴を感じられ、声帯の緊張をほぐす効果もあるため、声楽の基礎トレーニングとしても有名です。

音程を変えながら行うことで、より効果的な練習になります。

1日5分程度から始め、慣れてきたら10〜15分程度まで時間を延ばしましょう。
» ハミングの正しいやり方や効果について詳しく解説!

エッジボイスの出し方【4ステップ】

エッジボイスのコツは、力を入れることではなく、息を減らすことです。ここを間違えるとまず鳴りません。

ステップ1:脱力して、ため息をつく

まず「はぁ〜」とため息をついてください。喉に力を入れないのが前提です。

あくびをするときのように、喉の奥が広がっている状態がちょうどよい脱力具合です。

ステップ2:息の量をうんと減らす

ため息の状態から、吐く息の量だけを少しずつ減らしていきます。「息が止まる寸前」くらいまで絞ってください。

多くの人は逆に、力を込めたり息を強く出したりしてしまいます。エッジボイスは、息を出すほど鳴りません。

ステップ3:出せるいちばん低い音で「あ゛ー」と鳴らす

音程は自分が出せるいちばん低いところです。音程を取ろうとせず、ほとんど声にならないくらいで構いません。

うまくいくと「ぷつぷつ」「ぎしぎし」と、粒が並ぶような音が出ます。これがエッジボイスです。

鳴らない場合は、驚いたときの「え゛っ」や、呆れたときの「あ゛ー」を思い出して真似してみてください。日常でも意外と使っている音です。

ステップ4:10秒キープできるか試す

鳴るようになったら、途切れず10秒続けられるかを目標にします。

最初は数秒で途切れたり、途中で普通の声に戻ったりします。それで正常です。息の量を一定に保てるようになると、だんだん続くようになります。

うまくいかないときのチェックリスト

  • 喉に力が入っている……力むと普通の低い声になります。あくびの喉を思い出してください
  • 息を出しすぎている……いちばん多い失敗です。もっと減らしてください
  • 音程が高い……エッジボイスは低音でしか鳴りません。自分の最低音まで下げましょう
  • 音を出そうと頑張っている……「鳴らす」のではなく「勝手に鳴る」感覚です。脱力が先です

それでも鳴らない場合は、先に喉の力みを取る練習をするとうまくいくことがあります。→ タングトリルハミングのやり方腹式呼吸のやり方

エッジボイスを練習して得られること

エッジボイスは派手な技術ではありません。得られるものを正直に整理すると、次の3つです。

1. 「声帯を閉じる」感覚が分かる(これが本命)

最大の収穫はこれです。

歌のレッスンでよく言われる「声帯を閉じる」「息を漏らさない」という指示は、感覚が分からないと実行できません。エッジボイスは閉じないと鳴らないので、正解の状態が音で分かります。

この感覚が分かると、高音の出し方が変わります。→ ミックスボイスの正しい出し方

2. 息を無駄に使わなくなる

エッジボイスは息を絞らないと鳴りません。練習していると、少ない息で声を出す感覚が身についてきます。

歌っていて息が足りなくなる、フレーズの後半で声が細くなる——という方には、遠回りに見えて効く練習です。

3. 歌い出しと語尾に表情をつけられる

表現としては、歌い出しのアタックや語尾の余韻に少量だけ混ぜる使い方をします。うまく入ると、フレーズの印象がぐっと変わります。

ただしこれはおまけだと考えてください。エッジボイス自体を聴かせる技術ではなく、あくまで隠し味です。

なお「エッジボイスを練習すると声域が広がる」「声が健康になる」といった話を見かけることがありますが、そこまで期待しないほうがいいと思います。あくまで声帯を閉じる感覚をつかむための練習です。

エッジボイスのデメリット

エッジボイスのデメリットは、習得が難しいことと、声帯に負担がかかることです。各デメリットについて詳しく解説します。

習得が難しい

エッジボイスの習得には時間がかかります。正しい技術を身に付けるには、長期的な練習と忍耐が必要です。個人差も大きく、すぐに習得できる方もいれば苦労する方もいます。

適切な指導者や教材を見つけるのが難しい場合も多く、自己流で練習を続けると誤った方法で声帯を痛めてしまいます。

しかし、エッジボイスは、困難を乗り越えるだけの価値がある技術です。表現力豊かな歌唱力を手に入れるためには、焦らず継続的な練習を重ねましょう。

声帯に負担がかかる

正しい技術を習得せずにエッジボイスを無理に出そうとすると、声帯に過度の負担がかかります。具体的には以下のような問題が起こります。

  • 声帯の炎症や傷
  • 声枯れや嗄声
  • 声帯結節

エッジボイスの練習によって喉の違和感や痛みが出た場合は、すぐに中止し、十分な休息を取ることが重要です。状況に応じてプロの指導を受けましょう。

正しい発声法を学ぶことで、安全にエッジボイスを使用できます。声帯に過度な負担をかけないよう、適度な休憩を取りながら練習に励みましょう。

エッジボイスの練習メニュー

エッジボイスは長時間やる練習ではありません。喉に負担がかかるので、短く毎日が基本です。

1. まずは1日1〜2分、鳴らすだけ

最初の目標は「安定して鳴らせるようになる」ことだけです。曲に入れることはまだ考えなくて大丈夫です。

1回30秒 × 2〜3セットを目安に、喉が疲れたらすぐやめてください。長くやるほど上達する類の練習ではありません。

2. 鳴らした状態から、少しずつ音程を上げる

安定して鳴るようになったら、次はこれです。

エッジボイスで鳴らしたまま、ゆっくり音程を上げていきます。あるところで普通の声に切り替わりますが、その切り替わる直前の感覚が、声帯が閉じたまま音程が上がっている状態です。

ここがミックスボイスへの橋渡しになります。→ ミックスボイスの正しい出し方

3. 歌い出しの一語目に、軽く乗せてみる

表現として使う練習です。曲のサビではなく、静かなフレーズの歌い出しから試してください。

「あ」で始まる歌詞なら、その一語目の頭にほんの一瞬だけエッジを乗せます。長さは0.1秒くらいの感覚で十分です。

4. 録音して、鳴っているか確認する

エッジボイスは自分の頭の中で聴こえる音と、外に出ている音の差が大きい発声です。骨伝導で低音が大きく聴こえるためです。

スマホで録って聴き返してください。「鳴っているつもりで、ただの低い声だった」というのはよくあります。

判断がつかないときは、一度プロに聴いてもらうのが確実です。シアーミュージックなどは無料体験があるので、確認だけしてもらう使い方もできます。

エッジボイスと一緒に練習したいこと

エッジボイスは単体で完結する技術ではなく、他の発声とつながっています。

なお、エッジボイスは喉に負担がかかりやすい練習でもあります。少しでも痛みを感じたらすぐ中止してください。不安なまま続けるより、一度シアーミュージックなどの無料体験で「今の出し方で合っているか」を見てもらったほうが安全で早いです。

エッジボイスは喉に近い発声なので、合っているかどうかの判断が特に難しいところです。
そういうときは、一度だけ人に聴いてもらうのがいちばん早い方法です。

ずっと通う必要はありません。無料体験だけでも「いまのやり方で合っているか」は分かります。
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まとめ

エッジボイスは、声帯を軽く閉じて低く「ぷつぷつ」と鳴らす発声です。高音を出すための技術ではなく、低音域で起きる現象という点を押さえておいてください。

コツは力を入れることではなく、息を減らすこと。鳴らないときはたいてい息を出しすぎています。

最大の価値は、曲中の表現よりも「声帯を閉じる」感覚を体で覚えられるところにあります。ここが分かると、ミックスボイスの習得が一気に進みます。

ただし喉に負担がかかりやすい練習でもあります。1日1〜2分にとどめ、違和感が出たらすぐに中止してください。長くやるほど上達するものではありません。

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ABOUT ME
ほっしー
サラリーマンをしている宅録系ブロガー。 『宅録をしたことのない人が、機材を揃えて作品を作ったり「歌ってみた」「演奏してみた」などで自由に表現できるようになる』をテーマに日々ブログを書いています。 宅録でアルバム3作品をすべて自分で制作した経験あります。 島村楽器主催の宅録コンテスト【録れコン】で全国約3000曲の中から最終選考ノミネートされました。