ウィスパーボイスの出し方と練習法|初心者でも簡単に始められるコツを解説
趣味の音楽を楽しむ中で、ウィスパーボイスに魅力を感じ、興味をもつ人は多数います。ウィスパーボイスは独特な歌唱テクニックで、曲の雰囲気を大きく変える力をもっています。
しかし、正しい出し方や効果的な使い方については、多くの人がよくわからずにいることが現状です。
こんにちは!弾き語りライブ歴20年以上、DTMコンテスト「録れコン」ファイナリストのほっしー(@studiohossy)です。
ウィスパーボイスは、息を多めに混ぜて、ささやくように歌う発声です。サビでガツンと張り上げる歌い方の対極にあって、Aメロの入りや曲の余韻でよく使われます。
弾き語りのライブでも、いちばん静かな一節をウィスパーで置くと、客席の空気が変わります。声量を上げるより落とすほうが、かえって耳を引きつけることがあるんですね。
ただ、この歌い方には宅録との相性という落とし穴があります。息が多いぶん、マイクに近づきすぎると「ボフッ」というノイズが乗りますし、逆に離れると声が細くなって埋もれます。ここは記事の後半で触れます。
この記事では、出し方の手順・練習方法・使いどころに加えて、声帯を痛めないための注意点までまとめました。
ウィスパーボイスの概要

ウィスパーボイスは、通常の歌声よりも小さく、ささやくような声質で歌う特殊な発声技法です。ポップスやジャズ、R&Bなどさまざまなジャンルで活用されています。
ウィスパーボイスについて、以下の項目に分けて解説します。
- ウィスパーボイスの魅力
- 通常の発声との違い
ウィスパーボイスの魅力
ウィスパーボイスは、柔らかく親密でリラックスした雰囲気を醸し出し、感情的な表現力が高い点が特徴です。優しさや切なさ、悲しみなどの繊細な感情のニュアンスを表現するために適した歌唱法です。
歌詞の内容をより印象的に伝えられるので、静かな曲や感情的な曲に適しています。
個性的な声質となるウィスパーボイスは、思わず聴き入ってしまう魅力があります。さまざまな歌唱法を取り入れて変化をつけると、より豊かな音楽表現が可能です。
通常の発声との違い
ウィスパーボイスは息漏れを伴う発声が特徴で、声帯の振動が少なく、声量も小さくなります。
ここで誤解されやすい点をひとつ。声量が小さいので「喉に優しい」と思われがちですが、実際は逆になることがあります。
息を多く通すぶん声帯が乾きやすく、長く続けると違和感が出やすいのです。楽に感じても、こまめに水分を取って休憩をはさんでください。
通常の発声よりも柔らかくかすれた音色で、子音の発音がより強調されます。しかし、高音域での発声が難しく、声の響きが減少しやすいです。
ウィスパーボイスは声帯を開き息と声を混ぜて発声するので、息の流れがより強調されます。通常の発声よりも声量が小さく、音の輪郭が不明瞭になりがちので、使い方には注意しましょう。
» 音域の基本知識から音域チェック方法、曲の選び方まで解説!
ウィスパーボイスのメリット

ウィスパーボイスは静かな環境でも練習でき、声量に自信がない人でも取り組みやすい技法です。音楽の中でウィスパーボイスを使うメリットを、以下の項目に分けて解説します。
- 音楽的表現の幅が広がる
- 感情的なニュアンスを伝えられる
音楽的表現の幅が広がる
ウィスパーボイスは、通常の発声とは異なる独特な雰囲気を演出できる点が最大の特徴です。曲の静かなパートや情緒的な部分を強調するために効果的で、強弱の変化を効かせてダイナミクスの幅を広げられます。
リスナーの注意を引き付ける効果があり、歌詞の内容をより印象的に伝えられる歌唱方法です。
他のテクニックと組み合わせて新しい表現を生み出したり、さまざまな音楽ジャンルで活かしたり、幅広い楽曲で活用できます。
ウィスパーボイスを取り入れるとより豊かな音楽表現が可能になる点は、大きなメリットです。
感情的なニュアンスを伝えられる
ウィスパーボイスは親密さや秘密めいた雰囲気を演出し、通常の発声では表現しにくい微妙な感情のニュアンスを伝えられます。効果的な場面で使えば、以下の感情表現が可能です。
- 繊細な感情や脆弱性
- 聴き手に寄り添う印象
- 官能的な雰囲気
- 内面の独白や心の声
- 緊張感や不安感
- 静寂の中での思考や感情
聴き手の想像力を刺激して感情移入を促すため、より深い共感を得られる可能性があります。悲しみや切なさを繊細に表現したい場合、ウィスパーボイスを使えば聴き手の心に強く響く歌唱が可能です。
ウィスパーボイスの正しい出し方

ウィスパーボイスの正しい出し方を以下の項目に分けて解説します。
- リラックスした姿勢をとる
- 通常の声のボリュームよりも小さい声を出す
- 感情を込める
通常の発声に比べ小さいささやき声に聴こえますが、実際は多くの息を吸い込み発声しなければなりません。正しい出し方を意識して練習すると、魅力的なウィスパーボイスを身に付けられます。
ウィスパーボイスと裏声(ファルセット)は別もの
最初に整理しておきたいのが、この2つの違いです。混同したまま練習すると遠回りになります。
- 裏声(ファルセット)……声帯が薄く引き伸ばされて振動する状態。声区(声の出し方の種類)の話です
- ウィスパーボイス……声に息を多く混ぜた状態。息の配合の話であって、声区の話ではありません
つまりウィスパーボイスは、地声でも裏声でも成立します。低いキーで息を混ぜればそれもウィスパーですし、裏声に息を混ぜてもウィスパーになります。
「ウィスパー=弱々しい裏声」と思っていると、音程が下がったり声が消えたりします。声区はそのままに、息の量だけを増やす——この意識で練習してみてください。
裏声そのものを鍛えたい方はミックスボイスの正しい出し方もあわせてどうぞ。
通常の声のボリュームよりも小さい声を出す

ウィスパーボイスは、通常の声のボリュームよりも声量は小さいです。しかし、声全体を小さくし息漏れ声にするのではなく、発する息のうち声の比率を小さくします。
吐き出す息のうちの30%程度を目安に声にして、息に声を混ぜていくイメージです。
小さな声を出すためには、息を多めに使って声帯の振動を抑えることが重要です。喉に力を入れすぎず、リラックスした状態を保ちましょう。
口をやや閉じ気味にし、声を絞り出すのではなく自然に息が漏れるイメージで発声します。音程は通常の声より低めに設定し、声の響きを胸に集中させましょう。
子音を強調して母音を柔らかく発音すると、より効果的なウィスパーボイスを出せます。声帯の振動は最小限に抑えつつも、言葉は明瞭に伝えましょう。
聴き手に近づいて話すイメージで、ささやくように一定の音量を維持すると、より親密で心に響く表現になります。
» 音程がわからない原因とは?改善方法を詳しく解説
ウィスパーボイスが向く曲・向かない曲
どんな曲にも使える技術ではありません。使いどころを外すと、ただ聴こえにくいだけになります。
向いている場面
- テンポが遅く、音数の少ないバラード
- Aメロや1番の歌い出しなど、これから盛り上がる前の静かな箇所
- 歌詞をじっくり聴かせたいところ
- マイクを使う環境(宅録・ライブのPA・カラオケ)
向いていない場面
- バンドの音が大きい曲。声が完全に埋もれます
- アカペラや生声で聴かせる場面。声量が足りません
- 屋外やストリート。風とノイズに負けます
- 自分の音域の高いところ。息を混ぜるほど音程が不安定になります
ひとことで言うと、ウィスパーボイスはマイクありきの技術です。マイクが声を拾ってくれる前提だからこそ、あれだけ小さな声で成立します。
曲全体をウィスパーで通す必要もありません。1番のAメロだけのように部分的に使うほうが、前後の対比が効いて印象に残ります。
ウィスパーボイスが使われている曲の見つけ方
「この曲のここがウィスパーボイス」と例を並べている記事は多いのですが、正直なところ、聴く人によって解釈が分かれます。
息の混ぜ方には段階があって、どこからをウィスパーと呼ぶかに厳密な線引きがないからです。
なので、他人の解説を覚えるより自分の耳で探せるようになったほうが早いです。ポイントは3つあります。
1. Aメロとサビを聴き比べる
好きな曲を1曲選んで、Aメロとサビで声の質がどう変わるかだけに注意して聴いてみてください。
多くのポップスは、静かに入って徐々に張っていく構成になっています。Aメロで息っぽく、サビで芯のある声に変わる曲は、その入りがウィスパー寄りの発声です。
2. 「息の音」が聴こえるかを確かめる
ウィスパーボイスの特徴は、声と一緒に「スーッ」という息の音が混ざって聴こえることです。
イヤホンで聴くと分かりやすくなります。音量を少し上げて、歌い出しの一語目に集中してみてください。息の成分が多い歌手は、子音の前に空気の音が乗ります。
3. まずは静かなバラードから探す
テンポが遅く音数の少ない曲ほど、ウィスパーボイスが使われやすくなります。バンドの音が大きい曲では埋もれてしまうので、そもそも使いにくいのです。
逆にアップテンポの曲で息っぽい声が聴こえたら、それはかなり意識的な演出だと考えられます。
こうして自分で見つけた例のほうが、記事で読んだ例より確実に身につきます。真似してみて自分の声で再現できるか試すところまでやると、理解が一段深まります。
ウィスパーボイスを出す際の注意点

ウィスパーボイスを出す際の注意点に以下のとおりです。
- 声帯へ負担をかけない
- 緊張しない
声帯へ負担をかけない
ウィスパーボイスを使う際は適切な呼吸法を使い、喉に力を入れすぎないようにしましょう。十分な水分補給を心がけ、声が疲れたら休憩を取るなど、練習時間の適切な管理が大切です。
喉のウォームアップをしてから本番に臨むと効果的です。喫煙や過度の飲酒は避けましょう。
無理な高音や低音を避け、環境に合わせた声量の調整も重要です。定期的な声帯の状態チェックも欠かせません。声帯へ負担をかけないよう心がけると、ウィスパーボイスだけではなく、さまざまな発声方法を使った豊かな表現を楽しめます。
ウィスパーボイスの練習方法

ウィスパーボイスは、正しい声の出し方を意識しながらの練習が大切です。練習方法は以下のとおりです。
- ささやくように発声する
- 声のボリュームを調整する
- 録音して確認する
ささやくように発声する
ウィスパーボイスは、息を吐きながら小さな声で話すように発声してみましょう。以下のポイントに注意しながら練習します。
- 声帯をひらき、ため息のように息を吐く
- 息の流れの中に、声を少しずつ混ぜていく
- 吐息70%、声30%を目安に発声する
- 口元に手をかざして息の流れを感じる
「し」や「ふ」などの子音を意識して発音すると、よりささやき声に近づきます。リラックスした状態での発声が大事なコツです。喉に力を入れすぎず、息の流れをコントロールしながら声量を調整しましょう。
声のボリュームを調整する

ウィスパーボイスを上手に使うには、声のボリュームの適切な調整が重要です。声量を自在にコントロールできると、表現の幅が大きく広がります。声のボリュームを調整するには、以下の練習方法が効果的です。
- 通常の発声から徐々に声量を下げていく
- ささやき声から少しずつ声量を上げていく
- 通常の発声とウィスパーボイスを交互に切り替える
- 歌詞の一部だけをウィスパーボイスで歌う
練習を繰り返すと、声量のコントロール力が向上します。声のボリューム調整には、ブレスコントロールも重要な役割を果たします。
呼吸を意識しながら声を出すと、より繊細な声量の調整が可能です。マイクとの距離の変更も、声量調整の一つの方法です。
マイクに近づくと声が大きく聴こえ、離れると小さく聴こえる特性を活かして、表現の幅を広げられます。感情表現に合わせて声量を変化させる練習も効果的でおすすめです。
喜びや悲しみなど、さまざまな感情を声の大きさで表現すると、より豊かな歌唱ができます。
» 歌ってみたのマイクの選び方
録音して確認する
録音して自分の声を客観的に聴くことは、ウィスパーボイスだけではなく歌の練習において重要です。普段自分に聴こえている声と、周囲の人が聴いている声は違います。
自分の声を客観的に聴くと、声の質感や表現力を確認できます。スマートフォンを使えば簡単に録音できるので、ぜひ活用してください。
問題点だけではなく、自分の進歩を確認できるとモチベーションにもつながります。最初は恥ずかしく感じるかもしれませんが、イヤホンやヘッドホンがあれば周囲を気にせずに確認ができるのでおすすめです。
慣れてくると、自分の声の特徴や課題もわかるようになってきます。
ウィスパーボイスを録音するときのコツ
ここは実際に宅録をしていて気づいたことです。
ウィスパーボイスは、普通に歌うときと同じセッティングだとうまく録れません。息の成分が多いぶん、マイクとの距離や角度がそのまま音に出ます。
- マイクに近づきすぎない……息が直接当たると「ボフッ」というノイズが入ります。拳ひとつ分は空けるのが目安
- 正面から少しずらす……マイクの真正面ではなく、10〜20度ほど角度をつけると息の直撃を避けられます
- ポップガードを必ず使う……ウィスパーこそポップガードが効きます
- 録音レベルは高めに……声量が小さいので、あとで音量を上げるとノイズも一緒に持ち上がります。録りの段階で適正まで上げておくのが大事
- 部屋の静けさが効いてくる……小さい声を録るぶん、エアコンや冷蔵庫の音が相対的に目立ちます
マイク選びから知りたい方はこちらもどうぞ。→ 歌ってみた動画に合う最適なマイクの選び方 / iPhone用コンデンサーマイクで印象爆上げ
ウィスパーボイスと一緒に練習したいこと
ウィスパーボイスは「息の量をコントロールする」技術です。関連する練習と組み合わせると、身につくのが早くなります。
- 腹式呼吸のやり方……息を細く長く保つ土台。ウィスパーは息が続かないと成立しません
- エッジボイスの出し方……ウィスパーとは逆に、息を絞って声帯を閉じる技術。対で覚えると息のコントロール幅が広がります
- ミックスボイスの正しい出し方……サビで張るならこちら。ウィスパーと使い分けると曲の起伏がつくれます
- 音程がわからない人の直し方……小さい声だと音程が不安定になりやすい方はこちらから
- 正しい発声練習とは?……発声全体の基本
歌の上達法をもっと広く知りたい方は歌がうまくなる方法3選もどうぞ。
まとめ

ウィスパーボイスは、音楽表現の幅を広げる魅力的な技法です。リラックスした状態で息とともに声を出し、感情を込めてささやくように歌うと、聴く人の心に深く響く歌声となります。
洋楽や邦楽の多くの曲で使われており、練習を重ねると誰でも習得できます。
声帯への負担をかけないよう配慮し、リラックスした状態で練習をしましょう。録音して自分の声を確認する方法は、客観的に課題や進歩を確認できるためおすすめです。
ウィスパーボイスを使いこなすと、音楽表現はより豊かになります。ウィスパーボイスを練習し、歌唱に取り入れてみてください。
