ボーカルが埋もれるのは、ほかの楽器の倍音がぶつかっているからです。削るのは相手側です。

こんにちは!弾き語りライブ歴20年以上、宅録コンテスト「録れコン」ファイナリストのほっしー(@studiohossy)です。

楽器の音は、鳴らした音程の周波数だけでできているわけではないからです
その2倍・3倍と重なっていく音も、いっしょに鳴っています。

ベースの主な音が75Hzでも、150Hz・225Hz・300Hzあたりにも小さな山が出ます。
それがどんどん上に伸びて、歌の帯域に届いています。

倍音とは、2倍・3倍と重なっていく音

倍音とは、鳴らした音程に対して2倍・3倍…と重なっていく周波数の音のことです。

ピアノで「ド」を鳴らしたとき、鳴っているのはその音程の周波数だけではありません。
いろいろな周波数の組み合わせで、あの響きができています。

同じピアノでも、楽器によって音がぜんぜん違いますよね。
倍音の出方の違いが、そのまま楽器の個性になっています。

周波数帯域で見る倍音

イコライジングの記事で、楽器ごとの周波数帯域について書きました。

400Hzに鋭い山がある楽器なら、800Hzや1200Hzにも山があるはずです。
これが倍音です。

ベースで考えてみます。
ベースの帯域は、およそ40〜400Hzと言われています。

75Hzくらいに鋭い山がある音をポーンと鳴らすと、150Hz・225Hz・300Hz付近にも小さめの山が出ます。

この倍音まで含めて「そのベースの音」になっている、というわけです。

歌が聴こえにくくなったとき、何をどう削るか

ベースを録音したら、歌が聴こえにくくなってモヤモヤする。
よくある場面です。

さて、ここで問題です。
「何を」「どう」いじれば解決に向かうでしょうか

1分ほど考えてみてください。

正解は、ベースの中音域をカットする、です。

なぜベース側を削るのか

鳴らした音のベースの主な周波数が75Hzなら、150Hz・225Hz・300Hz付近にも倍音の山が出ます。
そして、それ以上の周波数にも倍々で影響が出ます。

つまりベースの音は、低いところだけで鳴っているわけではない
歌の帯域にも、しっかり届いています。

曲や環境によって差がありますが、目安はこうです。

男性ボーカルの場合
ベースの600Hzあたりをある程度カットする
女性ボーカルの場合
ベースの800Hzあたりをある程度カットする
ベースが聴きにくいとき
ボーカルの100〜200Hzあたりをカットする

これだけで、ボーカルがすっきりするはずです。

間違えやすい答え

よくあるのが「ボーカルのEQやボリューム、コンプのメイクアップゲインを上げる」という答えです。

聴こえにくいから上げる。気持ちは分かりますが、これをやるとイコライザーがすぐ飽和状態になります

なるべく我慢しましょう。
イコライジングは引き算です。

倍音まで考えて削れると、ぐっと上達する

引き算の考え方は、イコライジングの記事にも書きました。
そこに倍音の視点が加わると、削る場所の見当がつくようになります。

手順にすると、こうなります。

  1. 聴こえにくいトラックを決める
  2. そこにかぶっていそうな楽器を探す
  3. その楽器の主な周波数の2倍・3倍を見当づける
  4. 見当をつけた帯域を、相手側で削る

削る場所が分かってくると、上げる回数が減ります。
結果として、音源全体がすっきりします。

細かい帯域の違いは、聴く環境でも分かりやすさが変わります。

よくある質問

倍音について、よくいただく質問は以下のとおりです。

  • 倍音は消してしまってもいいのですか?
  • どの楽器から削ればいいですか?
  • 倍音は目で見えますか?
  • 上げるのは絶対にだめですか?

順番にお答えしていきます。

倍音は消してしまってもいいのですか?

消しきってはいけません。
倍音はその楽器の個性そのものだからです。

削るのは、ぶつかっているところだけ。
全部を削ると、痩せた音になります。

どの楽器から削ればいいですか?

主役の邪魔をしている楽器からです。

弾き語りなら主役は歌なので、ベースやギターの中音域から手をつけます。

倍音は目で見えますか?

イコライザーのアナライザー表示で、山の位置を見ることができます。

鳴らしながら見ると、低い山の上に、等間隔で小さな山が並んでいるのが分かります。

上げるのは絶対にだめですか?

だめではありません。
ただし削ってから、足りないと感じたときだけです。

先に上げてしまうと、次のトラックでまた上げることになります。

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まとめ

倍音は、鳴らした音程に2倍・3倍と重なっていく音のことです。

  • 楽器の音は、主な周波数の上にも広がっている
  • 歌が埋もれたら、相手の楽器の中音域を削る
  • 男性ボーカルならベースの600Hz、女性ボーカルなら800Hzあたりが目安

聴こえにくいトラックを上げるのは、いちばん最後の手段です。

それぞれの楽器の倍音を考えながら、引き算のイコライジングをしていきましょう。

知識がつながってくると、ミックスの迷いが減ります。
ここは覚えておいて損のないところです。

わからないことがあれば、コメントやメッセージでお気軽にどうぞ。

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ABOUT ME
ほっしー
サラリーマンをしている宅録系ブロガー。 『宅録をしたことのない人が、機材を揃えて作品を作ったり「歌ってみた」「演奏してみた」などで自由に表現できるようになる』をテーマに日々ブログを書いています。 宅録でアルバム3作品をすべて自分で制作した経験あります。 島村楽器主催の宅録コンテスト【録れコン】で全国約3000曲の中から最終選考ノミネートされました。